金メダル・大野将平が貫き通した強くて美しい「日本柔道」の誇り

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by JMPA

 子どもたちばかりではない。古賀稔彦や吉田秀彦らを輩出した講道学舎は、15年に閉塾。2歳上の66kg級の海老沼匡とともに、講道学舎が生んだ「最高傑作」として、金メダルを獲得することしか頭になかった。

 決勝の相手はルスタム・オルジョイ(アゼルバイジャン)。1分44秒に内股で「技あり」、そして3分15秒に小内刈りを決めた。この日の5試合で、ほとんど大野の柔道着が乱されることもないまま、戦い終えた。

「日本柔道は、やはり重量級がピックアップされる。悔しい部分もありました。中量級の僕でもインパクトのある、ダイナミックな柔道、本当に強くて美しい柔道をできるんだということを証明したかったし、柔道界のシンボルみたいな選手になれるようにこれからも精進していきたい」

 リオの地で大野は、鮮やかで美しく、潔く無骨に一本を狙い続け、世界の頂点に立った。

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