金メダル・大野将平が貫き通した強くて美しい「日本柔道」の誇り
男子柔道で2大会ぶりの金メダルを獲得した大野将平 小内刈りで難敵の背中を畳に叩きつけ、「一本」が宣告されても――つまり日本男子柔道にとって北京五輪の石井慧以来、2大会ぶりの金メダルが決まっても、73kg級代表の大野将平(旭化成)にガッツポーズはなく、ニコリともしなかった。
世界の人は思ったはずだ。どうしてこの日本人は、金メダルだというのに喜ばないのだろうか、と。大野は言う。
「対人競技なので、相手を敬(うやま)おうと思っていました。(五輪は)日本の心を見せられる場でもあるので、よく(高ぶる)気持ちを抑えられたと思います」
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