長与千種が新団体マーベラスを旗揚げ。愛弟子・彩羽匠に託す思い (5ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文・写真 text&photo by Ozaki Mugiko

「初めて試合を見る人の心を鷲づかみにする選手に育てたいです。彩羽が私を見てプロレスラーになりたいと思ったんだったら、今度はあなたが渡す番だよ、と言いたい。長与千種は記録も強さもなかった選手ですが、唯一持っていた技、唯一伝えていきたいことはそこだよ、と。賛否両論言われる選手になってほしいですね。スターの条件って、そこですから。アンチの人って、文句を言いつつ、なんだかんだ試合を見に来る。そういうお客様、私は好きなんですよ。人間臭さがあって」

 彩羽のファイトスタイルは、全力の真っ向勝負。しかし根はネガティブ。コンプレックスの塊で、子どもの頃から引っ込み思案だった。あまりにも緊張しすぎると、突然すとんと眠りに落ちてしまう。「それが現実逃避が始まった合図」と長与は笑う。スターになるには、ネガティブでなければいけない、とも。

「ポジティブな子は、常にスイッチがオンなので、一定なんです。高低がないんです。ネガティブな子は、大きなスイッチを入れます。自分が嫌だから、自分でスイッチを入れるんですよ。それが武器だと思ったほうがいい。自分を掻き立てる大きな武器です」

 5月3日、マーベラス旗揚げ戦。彩羽は里村明衣子とメインの試合で戦う。里村は、長与の前団体ガイア・ジャパンの生え抜きレスラー。愛弟子対決となる。

「里村ほど玄人受けするレスラーはいない。でも今の自分は、素人受けするレスラーを作りたい」

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