吉田沙保里のライバル、村田夏南子が「RIZIN」で総合格闘技参戦 (4ページ目)

  • 布施鋼治●文 text by Fuse Koji  保高幸子●写真 photo by Hotaka Sachiko

 結局、村田のデビューは大晦日から4月17日の「トップ Presents RIZIN.1」にスライドされたが、そのことを村田はプラスに捉えている。

「周りからは、準備する期間が長くなってよかったねと言われています」

 打撃、組み、そして寝技……MMAには習得しなければならない技術がいくらでもあるからだ。今年2月上旬、村田が練習の拠点として通う東京・代々木のジム「Me,We」に顔を出すと、男子のMMAファイターに交じって汗を流す村田の姿を見つけた。紅一点ながら、まったく違和感はない。

男性ファイターを軽々と持ち上げる村田夏南子。レスリング全日本王者のフィジカルの強さはMMAでも生かされることだろう男性ファイターを軽々と持ち上げる村田夏南子。レスリング全日本王者のフィジカルの強さはMMAでも生かされることだろう

 練習相手は自分より何階級も重いクラスの男子ばかりだが、村田はチャンスと見るや鮮やかなタックルや一本背負いでテイクダウンを奪う。横田はこう解説する。

「夏南子ちゃんは寝技になると強い。組んでテイクダウンされたら、男子でもなかなか逃げられない。MMAを始めて半年も経っていないので教えることは山ほどあるけど、吸収は早いと思いますね」

 村田はうれしそうだった。課題だった打撃に上達の兆しが見られるようになったからだ。

「以前は、横田さんが持つミットを叩いてもパスッという音しか鳴らなかったけど、最近はパーン!という音が鳴るようになりました」

 レスリングは相手の両肩をマットにつければ勝ちになるが、MMAは一本かKOを狙わないといけない。MMAをやればやるほど、村田はその違いを肌で感じている。

「相手をキープするだけでは何も意味がない。相手の動きに対して自分がバランスをとりながら動くのは難しいけど、最近はようやく身体でわかってきた気がします」

 デビュー戦の対戦相手はナタリア・デニソヴァ(ロシア)。着衣のアマチュア総合格闘技パンクラチオンのナショナル選手権で優勝した経験もあり、男子と闘って勝ったこともあるというMMAファイターだ。ナタリアの映像を1試合だけ見たという村田は、「強いという印象はそんなにない」と自信を覗かせる。

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