吉田沙保里のライバル、村田夏南子が「RIZIN」で総合格闘技参戦 (2ページ目)

  • 布施鋼治●文 text by Fuse Koji  保高幸子●写真 photo by Hotaka Sachiko

 格闘技歴はレスリングからではない。幼少期から、生まれ育った愛媛県松山市で柔道の指導者だった祖父のもと、柔道衣に袖を通した。同じ柔道クラブにはのちに世界王者となる浅見八瑠奈(はるな)が属していた。稽古になると、村田は食い入るように浅見に目を凝らした。

「柔道をやっているときにはずっと近くで浅見さんを見ていて憧れていました。強いうえにかなり練習する。浅見さんの影響を受け、試合で使う道具などは、きちんと畳むようにしています。今でも練習用具を粗末にすることはありません」

 村田は小学生高学年の時、2年連続全国大会で3位に輝いている。中学に進学すると愛知県大成中学に柔道留学をして、2年のときには全国優勝を成し遂げた。柔道家としての村田の将来は前途洋々に映ったが、ルール改正によって得意だった足をとる技に制約を受けることから、高校進学とともにレスリングに転向した。吉田沙保里に憧れていたことも大きかった。

 2012年12月、日大レスリング部で筆者は初めて村田を取材している。その時のメモには「たどたどしい口調ながら、その言葉の節々には内に秘めた闘志を感じる」と記していた。今回、自身の性格について改めて聞いてみると、村田は「大の負けず嫌いなのはおじいちゃん譲り」と答えた。

「小学校のときにはよく家に警察が来ていました。自分より(5歳上の)お姉ちゃんのほうがケンカをやっても強かったけど、私はそれがイヤで噛みついたり、後ろから殴りかかったり、卑怯なことばかりしていました。お姉ちゃんの足にはまだ私に噛まれた痕が残っているみたい。何回目か忘れたけど、通報されてやってきた警察官は『また村田さんの家ですか』と呆れていました(苦笑)」

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