12・29RIZINで禁断の激突! 桜庭和志と青木真也の対照的な生き様

  • 布施鋼治●文 text by Fuse Koji   保高幸子●写真 photo by Hotaka Sachiko

 桜庭と違い、青木は酒を一滴も飲まなければ煙草も吸わない。ストイックなまでに練習中心の生活を送っている。だからといって自分のやり方だけが正しいとは思わない。リング上では生き方が如実に現れると感じているだけだ。

「IGF(アントニオ猪木主宰の団体)で、桜庭さんの同世代の藤田和之さんとしゃべっても人間的な大きさを感じる。それから下の世代になるにつれ、人間としてはどんどん小さくなってきているとも思う」

 試合に対する価値観も異なる。桜庭にはとにかく観客が喜ぶ試合をしようという気持ちが強い反面、青木には勝利至上主義の傾向があると言われている。青木とは噛み合うと思うかと訊くと、桜庭は「僕だって勝負事なので勝ちたい」と本音を語り始めた。

「勝って、さらにいい試合ができたらベストでしょう」

 仮に2Rまで試合を優勢に進めた青木が勝ち逃げを狙い、こう着したら?

「しゃべるかもしれない。『これでいいのか』とか『もうちょい動こうよ』とか」

 桜庭のこの発言を伝えると、青木は数秒間絶句したあと、語気を強めた。

「桜庭さんは『今の格闘技』をやられたらイヤなんでしょう。でも、そんなこと言われたら動くしかないでしょうね」

 今の格闘技──それはUFCを筆頭にポイントを稼いで確実に勝利を目指す傾向を指す。これに対して、桜庭はこう苦言を呈す。

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