ありがとう天龍源一郎。生ける伝説~引退まで53年の格闘家人生 (4ページ目)

  • 佐瀬順一●取材・文・写真 text & photo by Sase Junichi

 この3人のなかで、今も現役なのは自分だけ。だから、「コイツは許せない」という気持ちをしっかりオカダにぶつけてやろう、というのだ。多彩でスマートな闘い方をするオカダに対し、「サッカーボールキックとグーパンチと喉元チョップだけで勝負つけてやりますよ」と、天龍は挑発した。これもまさしく、天龍らしい“つっぱり精神”ではないか。

 引退試合となるオカダ戦は、どこかサベージ戦のときと似ているように思える。当時の天龍は、「リングに上がってしまえば、WWFもないよ、ランディ・サベージもないよ。自分のプロレスをするだけだ」と語ったが、「リングに上がってしまえば、平成プロレスもないよ、レインメーカーもないよ。自分のプロレスをするだけだ」と言ってくれそうな気がする。

 それならば、最後に打って出てほしい。腰の手術をしてからは“封印状態”だが、馬場からも、猪木からもフォールを奪い、サベージ戦で見ている者のフラストレーションを一発で吹き飛ばした、あの完全無欠のパワーボムを――。

 つっぱれ、天龍!

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