初の学生連覇へ!筑波大・竹ノ内佑也が全日本剣道選手権に挑む

  • 柳田直子●文 text by Yanagida Naoko
  • 時事通信社●写真

 そんな竹ノ内の良さが存分に発揮されたのが、昨年の全日本剣道選手権の決勝だ。相手は同じ福岡代表の國友錬太朗(福岡県警察)。試合時間が7分となるところで、竹ノ内が小手面の二段技を決めて先手を取る。全日本選手権では4回戦以降、10分の制限時間内に先に2本を決めた選手が勝利となるため、反撃を試みようと國友が積極的に攻め込んできた時のことだった。

 試合場のライン際まで下がった竹ノ内に対し、國友が勢いよく跳び込む。下がっている分、体勢はやや後ろに反っていて本来であれば動きづらい。そこを、一瞬で体勢を立て直すとともに國友の「出ばな」を狙って一気に面へと跳んだ。ほんの一瞬だった好機を見定めて迷わず面に打ち込んだのだ。

 技術もさることながら、強い決断力がなければ打てない一本だ。まして、決勝という大舞台。このメンタルの強さは、とても学生とは思えない。竹ノ内本人は「小さい頃からテレビで見ていた大会。普段出場する大会とはまったく違う雰囲気でした」と語ったが、その試合ぶりは“初々しい学生”という印象とは程遠かった。

 22歳という若さで、技術面・精神面において非凡な才能を持ち合わせている竹ノ内。これまで62回行なわれた全日本剣道選手権で、連覇の記録をもつのは宮崎正裕教士八段と髙鍋進錬士七段(いずれも神奈川県警察)の2名のみだ。今回はその記録に挑むことになるが、他の選手に動きを研究されていることは間違いなく、昨年よりも難しい戦いを強いられるだろう。しかし、「彼ならばそれを乗り越えてくれる」という期待を抱かずにはいられない。そういった「何か」を持った選手なのだ。

 全64選手のうち、学生剣士は竹ノ内を含め3名出場する。「3人とも、面白い試合ができればいいかなと思います」(竹ノ内選手)。あくまで挑戦者として、再び日本武道館の舞台に立つ。

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