辰吉寿以輝ボクサーデビュー「父からは何も教わっていない」 (4ページ目)

  • 原 功●取材・文 text by Hara Isao

――勝つ自信はある?

寿以輝 あります。100パーセントあります。

――では、倒す自信も?

寿以輝 あります、あります。それも100パーセントあります。

――ボクサーとしての目標は世界チャンピオンですか?

寿以輝 はい、世界チャンピオンです。階級は(父親と同じ)バンタム級でなくてもいいです。

 淡々と応答していた寿以輝が、質問と同時に答えを返してきたのは、「勝つ自信はあるか」「倒す自信はあるか」と聞いたときだった。「あります、あります」と、答えを重ねてきたほどだった。「気が強いのかどうか、自分では分かりません」と語る寿以輝だが、自ら腰を引いてしまう気弱なタイプでないことだけは確かなようだ。

 インタビュー後、寿以輝はプロで4戦3勝(2KO)1敗のキャリアを持つスーパーバンタム級の梶龍治(帝拳)と、4ラウンドのスパーリングに臨んだ。広めのスタンスから速い左ジャブを突き、機を見て右も打ち込む。突破口を見つけると一気に攻めかかり、左ボディブローを繰り出す姿は、父親とオーバーラップするところもある。

 スパーリングを行なっているとき、WBC世界バンタム級王者の山中がジムに訪れた。そして、自身の練習の合間に寿以輝のスパーリングを見ていた山中は、「スパーと試合は違う」と前置きしながらも、「以前に見たときよりもずっと良くなっている。試合が楽しみですね」と話した。一方、手合わせした梶は、「(寿以輝は)スピードがあり、パンチもこの階級の選手としては強い。特に左ボディブローが強く、デビュー前の選手としてはレベルが高いと思う」と評した。

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