【ボクシング】メイウェザー対パッキャオの「賞味期限」 (4ページ目)

  • 原 功●文 text by Hara Isao  photo by AFLO

 また、パッキャオと同様に、メイウェザーにも力量や実績面でバランスのとれたライバルが皆無で、昨年はマルコス・マイダナ(アルゼンチン)と連戦しなければならなかったほどだ。こうしたこともあってか、MGMグランド・ガーデン・アリーナで行なわれたマイダナとの再戦では、1080枚の残券があったと報告されている。

 パッキャオは昨年12月で36歳になり、メイウェザーは今年2月で38歳になった。ともに実績、知名度とも抜群のスーパースターであることに変わりはないが、ふたりを取り巻くビジネスの状況は2009年~2011年ごろとは明らかに変わっているのである。今回、より強力なライバルを必要としたパッキャオが相手側の諸条件をのむかたちで交渉が成立したが、メイウェザーにとっても、モチベーションをかき立てる相手はパッキャオしかいないというのが実情といえる。

 急転直下で決まった大一番は、ライバルのHBOテレビとショータイムの2局が同時にPPVで放送することになるという。こちらも一時的に、ビジネスで手を組むわけだ。PPVの契約件数は300万件~400万件が見込まれており、その結果、メイウェザーは150億円もの報酬を手にすると見積もられている。2013年から2014年にかけて2試合で約105億円を得たメイウェザーだが、今回は1試合でその1.5倍を稼ぐことになる。メイウェザーの通称『マネー(金の亡者)』の面目躍如といったところか――。

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