【ボクシング】メイウェザー対パッキャオの「賞味期限」 (3ページ目)

  • 原 功●文 text by Hara Isao  photo by AFLO

 ところが、この3年ほどで事情は大きく変化した。パッキャオは2012年に連敗を喫したことで、商品価値が下落。2013年以降の直近の3戦はPPVの契約件数が激減し、最高でも80万件弱、他の2試合は会場が中国特別行政区マカオということもあり、時差のあるアメリカでは50万件に満たなかった。

 WBO世界ウェルター級王座を取り戻した2014年4月のティモシー・ブラッドリー(アメリカ)戦はMGMグランド・ガーデン・アリーナで行なわれたものの、1000枚近い残券があったと報告されている。試合は常にエキサイティングだが、5年以上にわたって9試合もKO勝ちがないこともマイナスに影響しているようだ。また、マルケスと4度、ブラッドリーとも2度手合わせしているように、明らかに対戦相手も枯渇している。直近の試合では、世界的には無名のはるか格下が相手だった。

 一方、メイウェザーにも大きな変化があった。2013年春、それまで10年以上も手を組んできたHBOテレビを離れ、ライバルのショータイムと6試合で2億ドル(約238億円)の超大型契約を結んだのだ。しかし、2013年9月のサウル・アルバレス(メキシコ)戦こそ220万件という歴代2位のPPV契約数を記録したものの、他の3試合は100万件を割り込み、テレビ局は大赤字を計上したと伝えられている。メイウェザー自身は天才的な防御技術を駆使して着実に勝利を重ねているが、やはり5試合連続で判定勝ちに留まっている。「試合内容と報酬が釣り合わない」という陰口があるのも事実だ。

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