ボクシング新時代。世界に最も近いプロ4戦の「19歳コンビ」 (4ページ目)

  • 原 功●文 text by Hara Isao  photo by AFLO

 ライトフライ級の井上も右のボクサーファイター型だが、田中よりも好戦的で、インファイトを好むファイタータイプに近いと言えよう。相手に圧力をかけながら出入りを繰り返し、上下にパンチを打ち分けて圧倒するケースが目立つ。パンチの破壊力・切れという点では兄に及ばないが、大橋会長は、「気の強さ・馬力は、拓真のほうが上」と評している。3戦目では右ストレートや左フックなど多彩なコンビネーションでダウンを奪うなど、非凡なものを見せている。兄のように一撃で倒す破壊力を身につければ、相手に与えるプレッシャーもさらに大きくなるはずだ。ベルトの有無でみれば、現時点では田中に先行を許している井上だが、こちらも年内には大きな勝負に打って出ることになりそうだ。

 現在、東洋太平洋ミニマム級王者の田中はWBAとWBOで3位、WBCで5位にランクされており、井上は1階級上のWBAライトフライ級5位、WBO15位に名を連ねている。田中と井上のポテンシャルを考えれば、今年、ふたりが世界のベルトを腰に巻いてもまったく不思議ではない。そして、世界を舞台に並走し続け、やがて決着戦――。そんな日がやってくるような気がする。

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