復活・中村美里が金メダル!「今は柔道が楽しい」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by (C)Koji Yamazaki /PHOTO KISHIMOTO

9月特集 アジア大会2014の発見!(5)

 開会式から一夜明けて競技初日を迎えた仁川アジア大会。9月20日の柔道は男女軽量4階級が行なわれ、日本チームとしても複数の金メダルを狙う日だった。

金メダルを手に笑顔をみせた中村美里(中央)金メダルを手に笑顔をみせた中村美里(中央) 日本は男子60kg級の志々目徹が準決勝で敗退して3位決定戦に回った以外は、思惑通りに、66kg級の高上智史と女子48kg級の山岸絵美、52kg級の中村美里が危な気なく決勝まで勝ち進んだ。

 午後7時から始まった決勝ラウンド。最初に志々目が銅メダルを獲得して、いい流れをつくった。だが決勝に入ると最初に登場した山岸は「寝技が得意なので警戒していた」というモンゴルのムンフバットに開始1分5秒で寝技に入られ、18秒で逃げたが"技あり"を取られた。結局、パワフルな相手を崩せずに敗戦(銀メダル)。続く高上もモンゴルのダバドルジのパワーに押され、1分33秒に小外刈りを鮮やかに決められて一本負けをしてしまった。

 そんな悪い流れになった中でも、中村は「試合会場へ向かう直前にふたりの負けを知ったけど、それでプレッシャーを感じることもなく、自分の戦いをしようと思って臨んだ」と動揺しなかった。

 08年北京五輪銅メダリストで、世界選手権では2度優勝している中村。12年のロンドン五輪が初戦敗退に終わると、前から痛めていた左ひざの前十字靱帯の再建手術に踏み切った。

 その後、リハビリを経て昨年11月の講道館杯で復帰すると優勝を果たした。ところが、水が溜まるなどの症状があり、12月には再手術。患部に取り付けてあったボルト除去の手術を受けて、今年に入り再び復帰していたのだ。そんなケガを乗り越えてきた彼女にとって、このアジア大会は、2年後のリオデジャネイロ五輪へ向けての第一歩とも言えた。

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