2013.12.19

【格闘技】王者・山崎秀晃×漫画家・村瀬克俊、
キックボクシングを熱く語る!

  • 中村拓己●構成・文 text by Nakamura Takumi 石川耕三●撮影 photo by Ishikawa Kozo

村瀬克俊(むらせ・かつとし)●1979年、神奈川県生まれ。2004年『福輪術-ふくわじゅつ-』でデビュー。週刊少年ジャンプにて『K.O.SEN』、『DOIS SOL』を連載。2013年より週刊ヤングジャンプにて『モングレル』を連載中村瀬 もともと、山崎選手は伝統派空手をやられていたんですよね?

山崎 はい。キックを始めてからも、距離感やステップは伝統派空手と同じです。伝統派空手の間合いはキックと少し違うので、試合中に、「この距離、俺がパンチで入れる間合いやけど、(逆に自分は)ディフェンスしなくて大丈夫?」と思うこともあります。

村瀬 そうなんですね。アマチュア時代には名城裕司(K-1 MAX2011日本王者)選手とも試合しているんですよね?

山崎 無差別級のトーナメントで対戦しました。ちょうど、僕と名城選手が体育館の端と端にいたんですけど、名城選手がミットを蹴ると、僕のところまで「バーン!バーン!」と音が聞こえてくるんですよ。トーナメントを全試合KOで勝ち上がってきてたので、ぶっちゃけ試合はやりたくなかったです(苦笑)。

村瀬 そんなエピソードがあったとは!

山崎 だからもう、名城選手の攻撃をひらりひらりとかわして、自分の攻撃だけを当てる作戦で戦って、それがうまくハマって勝つことができました。今ではいい思い出です。

村瀬 山崎選手にとって、Krushとはどういう場所ですか?

山崎 僕はデビュー3戦目からKrushに出るようになって、最初は新宿FACEからスタートして、結果もドローでした。はっきり言って当時の自分を見た人は、誰も僕が上に行くとは思っていなかったと思います。でも、Krushで経験を積むうちに自信と実力がついてきて、憧れの選手と試合を組んでもらって撃破する――。その繰り返しでステップアップして、チャンピオンになることができたので、(Krushは)自分を成長させてくれた場ですね。客観的に見ても、第1試合からメインまで、選手みんながKrushというイベントを盛り上げようという気持ちで戦っているので、ひとりのファンとしてもお金を払って見たいイベントです。逆にまだ、Krushを見たことがない人は、一度でも試合を見てくれたら絶対に虜(とりこ)になると思いますね。

村瀬 Krushは選手ひとりひとりが、「Krushという舞台」に誇りを持って戦っているように思います。Krushの選手は試合中、「ここで倒せる!」というときに、躊躇(ちゅうちょ)することなく全力で倒しに行くじゃないですか。危険をかえりみずに前に出ていく姿は、心を打つというか、一緒に試合を見に行った僕の担当編集者も試合中に興奮して立ち上がるんですよ。Krushは格闘技に詳しくない人でも興奮・感動する、見ていて気持ちが伝わる試合が多いので、Krushを見ていればキックの一番面白いところが見えるんじゃないかなと思います。

山崎 戦っている側としても、その会場の雰囲気は分かります。でも、僕は会場が冷めていても、それはそれでいいんですよね。「やっぱり俺が行くしかない」「俺が出んとアカンな」という気持ちで戦えるので。

村瀬 これはちょっと漫画家という今回の立場を利用して聞いてみたかったのですが、山崎選手は初防衛戦で対戦した木村ミノル選手と調印式で乱闘寸前になったじゃないですか(山崎と木村は12月14日のKrush後楽園大会で対戦し、山崎がKO勝利)。あれは......、どのくらい本気だったんですか?

山崎 100パーセント、本気です。言葉は悪いかもしれませんが、僕は試合になったら、相手の息の根を止めるつもりで戦うんですよ。そのくらい入れ込まないと、本気で人間を倒せない。だから、僕は試合が決まったら、絶対に対戦相手と握手はしないし、挨拶もしません。たまに計量会場で顔を会わせても、僕は無視しますね。無愛想ですけど。対戦相手は僕の人生を妨害しようとする人間じゃないですか。そういうやつは許さない。そういう気持ちでリングに上がりますね。

村瀬 なるほど。

山崎 ファンの人に「キレたフリをしてるんですよね?」と言われたとき、「ギャグですよ!」と答えることもありますが、正真正銘の本気です。

村瀬 試合前の裏話を聞けてうれしいです。

山崎 やっぱり、僕は人生をかけて格闘技をやっているので。そのくらいの覚悟を持って戦っています。