漫画家・猿渡哲也が選ぶ、新日本プロレス名勝負ベスト3 (2ページ目)

  • “Show”大谷泰顕●文 text by “Show”Otani Yasuaki

漫画の世界とリアルなプロレスを見事に融合してしまったタイガーマスク。原悦生●写真 photo by Hara Essei 漫画の世界とリアルなプロレスを見事に融合してしまったタイガーマスク。原悦生●写真 photo by Hara Essei 「猪木の舌出し失神は衝撃的でしたね」

――では、ベストバウト2位は何でしょう?

猿渡 アントニオ猪木vsハルク•ホーガンの第1回IWGP決勝戦(1983年6月2日、蔵前国技館)ですね。エプロンサイドに立つ猪木を、ホーガンがアックスボンバーで場外に叩き落としてKOした試合です。猪木は舌を出して失神して病院に運ばれましたね。とにかくあの結末は衝撃的でした。確か、一般のニュースでも流れた記憶がある。「猪木、どうなっちゃうの?」って本気で心配したもんね!

――あれは世間を騒がせた事件でしたよね。

猿渡 3位に挙げたいのも猪木の試合で、長州力との一騎打ちです(1988年10月19日、静岡産業館)。長州が手首から大流血して、一方の猪木も額から大流血して錯乱状態になった試合。当時はテレビで観ていて「ちょっと不可解な試合だな」と思っていたんですが、後年ある人に「あれはアクシデントで流血に追い込まれたけど、それでも最後まで試合をやりきったふたりはすごい」って話を聞いてね。再度映像を観て、あらためてプロレスラーのすごさを知りましたね。

――3試合中、猪木の試合が2つ挙がりましたね。

猿渡 猪木はプロボクシングの世界ヘビー級王者だったモハメド•アリと、相手の条件を全部飲んで、かつ多額の借金を背負ってまで闘いましたよね(1976年6月26日、日本武道館)。今考えてもホントにすごいことだと思いますよ。あと、インパクトが強かった試合だと、物議を醸した橋本真也vs小川直也(1999年1月4日、東京ドーム)があったでしょ?

――総合格闘技モードの小川が、プロレスの範疇を逸脱した攻撃で橋本をボコボコにしてノーコンテストになった試合ですね。

猿渡 あの試合の映像を知人の格闘家と一緒に観ながら、小川のセコンドにいたジェラルド•ゴルドーの怖さを教えてもらったりして、昔はわからなかったプロレスの奥深さを知っていきましたね。

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