武藤敬司×蝶野正洋「闘魂三銃士の25年」を語る (3ページ目)

  • 長谷川博一●文 text by Hasegawa Hirokazu 平工幸雄●写真  photo by Hiraku Yukio

「スター選手がいなくても、プロレス人気は復活できる」

――プロレス黄金時代を知るおふたりが、今後マット界をどう活性化させるのか? きっといつも考えているテーマでしょうが、最近『プロレスに復活はあるのか』(青志社刊)という著書を出された蝶野さんから教えてください。

蝶野 プロレスの演出法はもう出尽くしているかもしれないけど、ほかの格闘技に比べればプロレスのアイデア量ははるかに豊富だから、過去のリメイクでも構わない気がするよ。それより、興行の営業マンであったり裏方さんの意識改革ができてなくて、そこの進歩や変化が止まってる。プロレスという興行形態がどうしたら現代のビジネスモデルに似合ったものになるか、その辺の意識づくりが大事だよね。

武藤 俺らはある意味いい時代に生きてきたし、ある程度のスター性を保つこともできた。もうここまでのスターはなかなか出てこない気がする。今やるべきことはまず団体の存在自体を多くの人に知ってもらうことで、大事なのはメディアだよね。プロ野球なんてテレビの地上波が離れても人気が変わらないじゃん。その辺も参考にしながらね。

蝶野 三銃士の時代には、テレビは深夜だったけどプロレス専門誌が2誌あってどっちも20万部くらい売れてた。そこに新聞もあるから、俺らは活字の力でここまで来た気がするね。日本のプロレスには60年の歴史があって、リング上の工夫はもう限界まで来てると思うよ。それよりもっと業界の根本の意識を変えないといけない。誰もスター選手がいなくたって組織が成り立つ方法もあるはずでね。例えば日本最大の某焼き肉チェーン店は、最初都内に店舗を一軒だけ構えた会社だった。どうやって同じ品質で量産化して地域展開するかを必死に考えていったわけ。プロレスも、突出したスターがいなくても、後楽園ホールでひとついい「パッケージ興行」ができたら、それを基に地方を回っていく方法もあるんじゃないかな。

――武藤さんのWRESTLE-1は、どんなカラーを目指していますか?

武藤 まだ始まったばかりで考えてる最中だよ。メディアの話で言えば、もう今は『週プロ』と『東スポ』しか残ってなくて、その読者だけを対象に興行は打てないからね。初めて観てくれたお客さんになんとかリピーターになってもらわないと。そこの努力を続けつつ、後継者を育ててプロレス界を盛り上げていきたいね!


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