【ボクシング】1ヶ月に世界戦11試合。その勝者、覚えていますか?

  • 原 功●文 text by Hara Isao photo by AFLO

 そして、「世界チャンピオン」の称号が著しく増えたことも、ボクシング離れを加速させたのは間違いない。「4団体×17階級=計68人の世界チャンピオン」という単純な計算式は、とっくの昔に崩壊しており、現在は「スーパーチャンピオン」もいれば、「名誉チャンピオン」もいる。さらに「暫定チャンピオン」に、「休養チャンピオン」の称号までも……。それらを合わせれば、メジャー4団体だけでも、述べ90人近い「世界チャンピオン」が存在するのである。さらにマイナー団体を含めれば、その数は200人近くになるはずだ。数の増加が、必然として質の低下を招いたことは否定のしようがない。これは、日本も例外とは言えない。

 こうした傾向は日本だけでコントロール、あるいは阻止できるものではないだろう。しかし少なくとも、「暫定王座は認めない」という日本独自の内規と、同レベルの自主規制は必要だろう。IBFとWBOの解禁に際し、JBCとJPBAは世界挑戦資格について、「日本あるいは東洋太平洋王座を獲得した実績を持つ者に限定する」とした。しかし、これを海外での挑戦には適用外としたため、結果として力量も実績も伴わない選手の海外挑戦が頻発することにもなっている。この際、「海外も同様とする」とした一文を加えてはどうだろうか。さらには、横綱審議委員会のような「資格審査委員会」の設置も、今後検討する必要がありそうだ。

 JBCの秋山弘志専務理事は、「慌てて規制しなくても自然に淘汰されるでしょう」と楽観的だが、そう悠長なことも言ってはいられまい。ボクシングという格闘スポーツを次世代に受け継いでいくためにも、そして世界チャンピオンの価値を落とさないためにも、早急に対策を練って決断をする必要がある。

※写真キャプションの答え:3人目の世界バンタム級日本人王者はWBAの亀田興毅。

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