【ボクシング】43戦無敗。「最強の男」メイウェザーを見よ! (2ページ目)

  • 原 功●文 text by Hara Isao
  • photo by Getty Images

 究極のライバルとみられた6階級制覇王者マニー・パッキャオ(フィリピン)が、30代半ばを前にかつての勢いをなくしてしまったのとは対照的に、メイウェザーは30代後半になっても衰えを感じさせない。不安があるとすれば、1年のブランクがあることぐらいだろう。これとて、過去の1年や1年半以上の空白後の試合でなんら問題がなかったことを考えると、大きなマイナス要因になるとは考えにくい。慢心を指摘する関係者もいるが、メイウェザーは、「私は自分が無敵だなんて思っていない。リングの上では何が起こるか分からないということを、経験を通して十分に理解しているつもりだ」と語り、自身を律している。そのうえで、「私は自分に特別な能力があることも知っている」と自信ものぞかせた。

 そんなスター選手の1年ぶりの試合ということもあり、発売と同時に約1万5000枚のチケットは飛ぶように売れた。ただし、今回は相手のゲレーロの人気も忘れてはなるまい。

「ゴースト(幽霊)」というニックネームで知られるゲレーロは30歳のサウスポーで、こちらも4階級制覇を成し遂げている技巧派ボクサーだ。3年前に白血病の妻の看病をするために世界王座を返上した逸話の持ち主としても有名で、そうした人柄が支持者を広げた根源となっている。実績や実力ではメイウェザーに及ばないものの、神がかり的なファイトがゲレーロを支えていると言えよう。「この試合は神様が与えてくれた試練だと思っている。肉体的にはもちろん、精神的にもこの戦いを乗り越える準備はできている」とゲレーロは話している。

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