【総合格闘技】UFC JAPAN 2013、日本人最強・岡見勇信が1年前のリベンジを誓う! (3ページ目)

  • 布施鋼治●取材・文 text by Fuse Koji
  • 長尾 迪●撮影 photo by Nagao Susumu

 岡見は、改めて自分のファイトスタイルを見直した。そうすると、それまでの数試合は、自分の攻撃の中で打撃が増えていたことを知った。現在、UFCでは打撃の比重が高くなっており、その流れに岡見も少なからず影響を受けていたのだ。

「でも、今まで自分が勝ってこられたのは、組み技の強さがあったから。そのことを思い出したので、もう一度、組み技中心の攻撃を相手にぶつけてみようと思いました。やっぱりMMAの中の組み技には、自信を持っていますからね」

 もうひとつ、岡見の強みはテイクダウンを奪ってからの寝技。

「組んでからの時間、あるいは寝技の時間を多くするにはどうしたらいいのか。根本の部分を見直すように務めました」

 ロバーツ戦以降、スタンドで差し合いを狙うだけではなく、相手にタックルで接近してコンタクトする攻防が増えたのは、試合を俯瞰(ふかん)して見ることができるようになったからに他ならない。結果的にタックルで入る攻撃を増やした方が、攻撃のバリエーションも増え、組み合う展開が増えることに気づいたのだ。

 3月3日、磨き直した十八番を武器に、岡見はヘクター・ロンバート(キューバ/オーストラリア)と闘う。ロンバートは母国キューバで7度も柔道のナショナル王者になった実力者。2000年のシドニーオリンピックにもキューバ代表として出場している。プロに成り立てのころは日本の吉田道場を拠点に活動し、PRIDEに出場した経験もある。その時期に接点があったのかと問いかけると、岡見は首を横に振った。

「そのころ、吉田道場で練習したことはなかったですから。でも、(PRIDEでも活躍した)長南亮さんからは、『ロンバートは練習でもガチガチに攻めてくるタイプ』という話を聞きました。最近の彼の試合を見たら、スピードやパワーがあって、打撃の当て勘も優れている。トータルすると、すごく危険な選手というイメージがある。でも、自分の動きを忘れたら困るので、そのイメージを無理に膨らまそうとは思わない」

 その一方で、岡見はどんな試合にも恐怖心や緊張感はあると打ち明けた。

「オクタゴンに入ったら闘わないといけない。そのとき自分がどういうふうに動くのかは、経験の差によって大きく左右される。僕は今までの経験でわかっている部分があるので、恐怖心や緊張感ともうまく付き合えているかもしれない」

 UFCでの通算戦績は16戦12勝4敗。日本人選手の苦戦が続く中、岡見だけは大きく勝ち越している。原点回帰を果たした日本の切り札に迷いはない。


【UFC JAPAN 2013 対戦カード】

[メイン:ライトヘビー級/5分5ラウンド]
ヴァンダレイ・シウバ(ブラジル) vs ブライアン・スタン(アメリカ)
[セミファイナル:ヘビー級/5分3ラウンド]
マーク・ハント(ニュージーランド) vs ステファン・ ストルーブ(オランダ)
[ライト級/5分3ラウンド]
五味隆典 vs ディエゴ・サンチェス(アメリカ)
[ミドル級/5分3ラウンド]
岡見勇信 vs ヘクター・ロンバード(キューバ/オーストラリア)
[フェザー級/5分3ラウンド]
廣田瑞人 vs ハニ・ヤヒーラ(ブラジル)
[ウェルター級/5分3ラウンド]
キム・ドンヒョン(韓国) vs シアー・バハドゥルザダ(アフガニスタン)
[ミドル級/5分3ラウンド]
福田力 vs ブラッド・タヴァレス(アメリカ)
[バンタム級/5分3ラウンド]
水垣偉弥 vs ブライアン・キャラウェイ(アメリカ)
[ライト級/5分3ラウンド]
徳留一樹 vs クリスチャーノ・マルセロ(ブラジル)
[バンタム級/5分3ラウンド]
カン・ギュンホ(韓国) vs アレックス“ブルース・リーロイ”キャセレス(アメリカ)
[ウェルター級/5分3ラウンド]
イム・ヒョンギュ(韓国) vs マルセロ・ギマラエス(ブラジル)

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