【柔道】メダルを逃した福見友子が試合後にもらした『悔恨の言葉』

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by JMPA

初めての五輪出場となった福見友子だが、準決勝、3位決定戦で敗れ、メダル獲得はならなかった初めての五輪出場となった福見友子だが、準決勝、3位決定戦で敗れ、メダル獲得はならなかった ロンドン五輪のメダリストが連日テレビに出演し、8月20日に行なわれたパレードには50万人が集まるなど、閉幕から10日以上が経っても五輪の熱は続いている。史上最多となる38個のメダルを獲得した日本選手団。当然のように珠玉の名言も数多く生まれたが、だからこそ強烈な印象として残っているのが、大会初日に柔道女子48キロ級の福見友子が発した悔恨の言葉だった。

「この日の悔しさは一生忘れることができずに、これからも生きていくと思います」

 福見は優勝候補の「大本命」と期待され、日本の金メダリスト第1号になることが有力視されていた。しかし準決勝で、北京五輪で谷亮子に勝利したドゥミトル(ルーマニア)に優勢負け。続く3位決定戦でも敗れ、メダルを逃してしまった。

 福見は谷に二度勝利(02年と07年の全日本選抜体重別選手権)したことがある唯一の日本人選手である。しかし代表には縁遠く、初めて世界選手権に出場したのは09年のロッテルダム大会だった(結果は優勝)。10年に谷が引退すると、浅見八瑠奈という新たな年下のライバルが出現し、福見は代表選考レースで遅れをとった。それでも5月の選抜体重別選手権で優勝し、27歳にして初めて五輪にたどり着く。

 ロンドン出発の直前、彼女はこのように話していた。

「ここまで私は遠回りしすぎてしまった。ロンドンは私の柔道人生の集大成。オリンピックの舞台で戦うためだけに私は柔道を続けてきました。ロンドンで燃え尽きたい。そして金メダルを持ち帰ります」

1 / 2

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る