【ボクシング】亀田興毅のファイトマネー3000万円は高いのか、安いのか? (2ページ目)

  • 原 功●文 text by Hara Isao
  • 矢野森智明●写真 photo by Yanomori Tomoaki

 日本では仮に世界王者になったとしても、慣例的なオプション契約によって、前王者側に2度ないし3度の興行権を握られるケースが多い。その場合、試合をしない前王者側が多くのギャラを持って行くため、実際に試合をする新王者の報酬額が極端に低く抑えられてしまうことがある。王者という名誉は手に入れても、実(報酬)の面が伴わない現実があるのだ。

 階級や選手の人気度、さらにはプロモーターの力量にもよるが、日本人世界王者の報酬はおおむね初防衛戦で300万円~1000万円、2度目の防衛戦で500万円~2000万円が相場と推定される。前王者とのオプションが切れる3度目以降は報酬の上昇率も上がるが、これも人気に左右される部分が大きい。現状では、西岡が得た100万ドルが日本人世界王者の上限相場とみていいだろう。

 海外、特にアメリカでは、マニー・パッキャオ(フィリピン)やフロイド・メイウェザー(アメリカ)といったスーパースターが、1試合で2000万ドル(約16億8000万円)超の報酬をゲットしているが、これはペイパービュー(PPV)による集金システムが確立されているためといえるだろう。彼らの試合をテレビで見るためには55ドル(約4600円)を払う必要があり、その契約軒数に応じて、選手に歩合報酬が加算される仕組みになっているからだ。たとえば、最近の彼らのPPVの契約軒数を約100万軒と仮定して計算してみよう。すると、『4600円×100万軒=46億円』が集金された計算になる。彼らのようなスーパースターのギャラは、『最低保障報酬+PPVの歩合報酬』という二重構造になっているため、莫大な金額が入るのである。

 しかし、知名度の低い世界王者となると、アメリカでも待遇は冷ややかだ。今年1月に行なわれたWBA内のスーパーバンタム級王座統一戦では、下田昭文からベルトを奪った正規王者リコ・ラモス(アメリカ)の報酬が約580万円、暫定王者ギジェルモ・リゴンドー(キューバ/アメリカ)が約480万円だった。ただ、この勝負に勝ったリゴンドーは、6月にパッキャオ戦の前座に出場することが決定。それにより、次戦は前回の数倍の報酬が見込まれている。

 こうしたなか、4月4日に横浜アリーナで亀田対ノルディー・マナカネ(インドネシア)、清水智信対テーパリット・ゴーキャットジム(タイ)、そして6日には東京国際フォーラムで粟生隆寛対ターサク・ジャンデーン(タイ)、山中慎介対ビック・ダルチニャン(アルメニア/オーストラリア)のダブル世界戦が行なわれる。タイトルの行方とともに、彼らの報酬も気になるところだ。

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