【プロレス】新日本プロレス戦略発表会にみた
40年目の「原点回帰」

  • text be by Nakagome Yuki
  • photo by Igarashi Kazuhiro

「今日の一番の目的は、ファンを安心させることだったのではないでしょうか。ブシロードという会社や木谷社長の人柄をファンにわかってもらって、新日本はこれから確実に良くなっていくということを認識してもらうのが狙いだったのでは?」

 そう分析するのは、元『週刊ゴング』編集長のスポーツライター金沢克彦氏だ。

「ブシロードは新興企業ですし、カードゲームはプロレスファンに馴染みが薄いので、たとえば木谷社長がマッチメイクなどに口出ししておかしなことになるんじゃないか......ファンはそこを心配していたかもしれません。確かに、大風呂敷を広げるような発表はなかったですが、たとえば『ニューヨークに進出する!』とか宣言したら、ファンは『えっ?』ってなりますよ。でもそうではなく、今できる等身大のチャンレンジを示してくれたのがよかったですね」(金沢氏)

 木谷社長がいかに「プロレスをわかっている」人なのか......それは十分に伝わっただろう。発表会の途中、真壁刀義に「木谷ちゃん」呼ばわりされたり、鎖で締められて拉致されるという一幕があったが、木谷社長はしっかりとやられ役を演じきってみせた。

真壁刀義に鎖で巻かれ、拉致される木谷社長真壁刀義に鎖で巻かれ、拉致される木谷社長 また、この発表会はマスコミ以外にもオフィシャルファンクラブの会員をユーザー記者として招き、YouTubeとニコニコ動画でライブ配信された。

「こういう会見をファン参加型にすることも含め、『プロレスを時代にあったものにしよう』という思いを強く感じましたね。おそらく最大の目標は、来年の1・4ドームでは90年代を彷彿させるくらいのお客さんを集めたい、そこにあるのではないでしょうか」(金沢氏)

 オーナー就任時に「新日本を世界最大のプロレス・カンパニーにする!」とブチ上げた木谷社長。この日の発表で、それがただのビッグマウスではなく、ビジネスマンとしての冷静な経営戦略に基づいた勝算だったという印象を受けた。そして、闘いを挑む相手は、プロレス界ではなく「世間」----それこそ、アントニオ猪木が40年前に新日本を創立したときの原点である。

 新日本プロレスの「原点」を見たい人は『燃えろ!新日本プロレス』HPへ>>

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