【総合格闘技】12年ぶりの再上陸。UFCジャパンで見えた日本格闘技界の未来 (2ページ目)

  • 石塚 隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • NAOKI FUKUDA/WOWOW●写真提供

 舞台装置もなく、煽りVTRもない雰囲気を、日本のファンは受け入れられるのかと思ったが、それも杞憂(きゆう)に終わった。ハリウッド映画ばりのVFX(視覚効果)を駆使したオープニング映像や、妖艶なラウンドガールが会場を練り歩く光景や、当然ながらすべて英語のリングアナウンスは、まるでアメリカの4大メジャースポーツや、ブロードウェイのミュージカルを観ているかのようで、エンターテインメントの真髄を感じさせてくれた。また、興味深かったのが、試合後、会場のモニターに試合の映像を流し、勝者がポイントやフィニッシュシーンを解説した点だ。いかにもスポーツとエンターテインメントをほどよくミックスした、実にアメリカらしい演出だった。

 試合内容も、単に一本やKOを狙う派手なものではなく、緻密なタクティクス(戦術)を用いたパズルのような攻防を披露し、目の肥えた日本の格闘技ファンも酔いしれるレベルの高い試合が連続した。特にメインを張ったフランク・エドガーとベン・ヘンダーソンとのライト級タイトルマッチは、両者とも日本に馴染みの薄い選手であるにもかかわらず、スピードとテクニック、そして選手の身体能力の高さから、判定決着でも十分に満足できる内容だった。

 印象的だったのは、ほぼイーブンの激闘で迎えた最終ラウンド前、日本の観衆からどこからともなく歓声が広がり、この日一番の盛り上がりを見せたことだ。派手な打ち合いの場面でもないのに会場が大きく波打ち、内容で観衆を納得させた光景を見るにつけ、今後、UFCは日本での地位をさらに高めていくだろうと実感した。日本の総合格闘技から、世界のMMA(ミックスド・マーシャルアーツ)へ――。日本の格闘技界にとってエポックメイキングな日となった、UFCの日本上陸だった。

※UFCジャパンは2月28日(火)&3月28日(水)、22時よりWOWOWWライブにて再放送

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