【プロレス】金沢克彦×ユリオカ超特Q
「90年代黄金期を語ろう!」

  • 高松えみ子●取材・文 text by Emiko Takamatsu
  • 本田雄士●写真 photo by Honda Takeshi

――91年には夏の風物詩となる『G1クライマックス』がスタートし、ここから闘魂三銃士が一気に飛躍していきました。

金沢 やっぱりインパクトが強かったのは、91年の第1回ですよね。三銃士は、これ一発でメインイベンターになっちゃった。大穴の蝶野が武藤を破って優勝(3号に収録済み)した後、座布団が乱れ飛んだ光景は僕自身にとっても衝撃的でしたね。

ユリオカ 当時、人気度でいうと武藤さんがダントツでしたね。今の選手はみんなあの時代の武藤敬司に憧れて、プロレスラーになってますから。ムタ特集の第2弾をやるなら長州さんからIWGPのベルトを獲った試合(92年8月16日、福岡国際センター)と猪木戦(94年5月1日、福岡ドーム)を入れてほしいですね。普通なら絶対においしいところを取るこのふたりが、逆にムタに持っていかれちゃう。あれは僕らの世界なら明石家さんまさんと共演して自分の方が目立っちゃうようなもので、やろうと思っても絶対に無理ですよ。でも、ムタは好き放題やって帰っちゃう。最後に猪木さんがマイクで締めるんですけど、あれは心の中で傷になっているんじゃないかと思うぐらい印象的な試合ですよね。

金沢 猪木さんが勝ったのに、空気は完全にムタワールドでしたよね。武藤の中では、猪木さんができなかったことを自分はやった、つまり「アメリカでトップを取った」というプライドがあって、それを本人に直接ぶつけたのかな。「俺の方が上なんだぜ」ぐらいの気持ちで。

ユリオカ 長州さんには、消火器をぶち撒けましたしね。あんな屈辱はないですよ。

金沢 あの時はヒドイ目に遭いましたね。リングサイドの記者席にいて、周りもみんな咳き込んでました(笑)。リング上でやられた長州さんは、もっとたまらなかったと思いますよ。

橋本に蹴られまくった藤波が「甘い!」

――あの頃は、そうした世代闘争が大きなテーマのひとつでしたよね。

金沢 世代闘争なら、藤波vs橋本のIWGP戦も入れないと(94年4月4日、広島グリーンアリーナ)。僕の中で、藤波さんの一番の名勝負なんですよ。あれは凄かった! 最後に丸め込んで橋本からIWGPのベルトを獲りましたけど、観ていて藤波さんが殺されるかと思ったもん。あの試合を観たら、また藤波さんの評価は上がりますよ。

ユリオカ (藤波のモノマネをしながら)蹴りとかどうこう言う前に、甘い! 僕が死んでたらいいですよ。まだ息があるうちはトドメをささなきゃ……甘い!

金沢 その後、「どうぞ殺してください」と言ってましたよ(笑)。あの時、橋本自身はもう時代を変えたと思っていたから、藤波さんが挑戦者というだけで試合前からキレてたんです。だから、思いっきり蹴りまくって、ストンピングも「踏み潰し」という感じで(苦笑)。

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