誹謗中傷を受け続けたストリーマーはつめ。女性がプロゲーマーになりたがらない本当の理由とは (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • 廣瀬久哉●撮影 photo by Hirose Hisaya

「頑張れば、そこそこチャンスは落ちていると思いますが、貧富の差はすごくあります。競技だけでお金を稼げている人はまだ本当に少ないと思います。結局稼げないと、健全なメンタルも、健全な仕事もできないですから......。

 正直、私が今のeスポーツに望むのは、ある程度大会に出てお小遣いが稼げて、自分たちが持っているプラットフォームやSNSでお金が回って生活ができる。それ以上のことはないですね」

 2017年にプロゲーマーになってから今年で5年目。その間、濃密な時間を過ごし、さまざまな経験を積んだはつめは今、諦観にも似た気持ちを持っているが、そんななかでもeスポーツ界の変化については敏感に感じ取っている。

「この数年間、何も変化がなかったかというと、全然そんなことはありません。振り返ってみると、自分がプロになる前よりも、みんなお金が稼げているし、サポートする団体や携わる人も増えています。少しずついい方向に向かっているんだなとは感じます」

 厚生労働省の2019年の調査で10~29歳の平日1日あたりのゲーム時間が、男性は約2人に1人、女性は約5人に1人が2時間以上だったという結果が出ている。これら若年層がeスポーツのプレーヤーや視聴者となり、今後さらに拡大していくのは確実だ。

 はつめが実感したeスポーツの進化は、今後ますます加速することは間違いない。若年層のプレーヤーたちが、eスポーツ界をどんな未来にしたいのかを明確に持つことができれば、課題はひとつずつ解消され、一生涯に渡ってeスポーツを楽しめる未来に変わっていくのではないだろうか。

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■Profile
はつめ
1998年生まれ、千葉県出身。18歳でプロ契約し、格闘ゲーマーとして活躍。世界各地で開催されるCAPCOM Pro TourやEVOなどに参加。2018年にプロゲーミングチーム「父ノ背中」に加入。2020年夏にプロゲーマーからストリーマーに転身。2021年3月にチームを退団。現在はストリーマーとして活躍し、テレビ、新聞などにも出演している。

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