女性ゲーマー・はつめも陥る不健康生活。曜日も時間もわからず「自律神経を壊しがち」 (2ページ目)

  • text by Sportiva
  • 廣瀬久哉●撮影 photo by Hirose Hisaya

純粋なファンにはほぼ会えない

 楽しくも過酷な日々を送るなかで、はつめの意識は少しずつ変化していった。2020年夏にプロゲーマーとしての選手生活に区切りをつけ、2021年3月には父ノ背中を退団した。その理由をこう語る。

「当時、仲のよかったプレーヤーと、『プロゲーマーは、誰のためにゲームをやっているのかわからなくなるよね』と話をしたことがあるんですが、まさにそのとおりで、私も楽しさを見いだせなかったんです。プロの場合、大会のシーズン中に別のゲームをやっていると叩かれてしまうんです。だからやりたいゲームがあっても隠れてやっていました。

 そうなると、何が楽しくてプロをやっているのかわからなくなったんです。それがプロと言われるのもわかるんですが、心労のほうが大きかったですね」

 一般的にプロゲーマーは、アマチュア選手もエントリーするオープン大会にも出場している。リアルスポーツであれば、プロプレーヤーとファンは線引きされるが、eスポーツのオープン大会の場合、今までファンとして接していた人が、対戦相手にもなる。それゆえ、「純粋な気持ちで応援してくれる人に会うことはほとんどないんです」とはつめは語る。

 リアルスポーツの多くの選手が、「ファンのみなさんの喜ぶ顔を見たい」、「ファンの声援が後押しになる」と語るが、eスポーツではその思いが芽生えにくいケースも少なからずある。

朝起きてもやることがない

 はつめは現在プロゲーマーの肩書を捨て、ゲーム実況などをライブ形式で配信するストリーマーとして活動。気持ちも一新し、「ゲームって楽しいんだな」と再発見する日々を送っている。彼女は主にストリーマーとして生計を立てているが、日々の生活は一般的な社会人とはだいぶ趣が違う。

「(活動は)夜型です。一番大きく違うのは、朝起きてもやることがないことですね。(オンライン対戦する)プレーヤーがまずいなくて、マッチングしないんです。配信をしている人もいないからやることがない。だから午前中に起きると、損したなと思っちゃうんですよ」

 はつめのようなストリーマーは、基本的に夜型。ゲームのアクティブタイムが夕食を食べ終わってからということもあり、ゲーム配信をしたり、オンラインで対戦したりすることを考えると、体内時計をそちらに合わせざるを得ない。当然、この不規則な生活は健康にも悪影響が出る。

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