eスポーツのチームオーナーが語るリアル。「選手を残してオーナーが失踪する」ことも (3ページ目)

  • 都合亮太●取材・文 text by Togo Ryota
  • 小沢朋範●撮影 photo by Ozawa Tomonori

西原 等身大って、甲山さんじゃないと味わえない楽しみ方かもしれないね。僕は保護者目線になりやすいし、それを求められている面もある。だから年長者として、特にモラルとコミュニケーションには気をつけていますね。

 未成年の子どもを預かる身だから、親御さんやファンに対しても誠実に対応するようにしていますし、逆にどれだけ気をつけても意思疎通の齟齬が起きて誤解されることもあります。そこが難しく大変でもあるけど、オーナーとしてのやり甲斐や面白さを感じる部分でもあります。

――ZETA DIVISIONもREJECTも、さまざまなタイトルの部門を抱えているチームです。多方面に展開しているからこその苦労などもあるのでは。

甲山 部門ごとの多様性は面白い部分ですね。eスポーツチームの場合、複数のタイトルでチームを抱えることが多くて、それぞれ選手の強さや特徴が異なります。ファン層が求めることも違っていて、それぞれのタイトルでオーナーとしての発言の仕方を変える必要があります。

西原 甲山さんの言うとおり、他の業界からすると考えられないような臨機応変さや変化を求められるので、経営的には大変です。ただ、eスポーツが持つ熱量や喜怒哀楽には、他のスポーツと同じレベルの熱狂があります。応援しているファンの熱さは半端じゃないです。このカルチャーをより根づかせていくのも、僕たちチーム運営者の仕事だと思っています。

甲山 応援といえば、オーナーをやっていてかなりつらいことがひとつありました。チームの部門が多いので、大会の日程が被ることが多く、すべての試合を生で観戦できない点です。これはオーナーとして悔しいし申し訳ないけど、対処のしようがないのがつらいですね。多分、西原さんも同じですよね。

西原 それは本当によくわかる。大会の日程が被る以外にも、オーナー業が忙しくて見られないこともあります。多くのeスポーツチームが抱えているジレンマだと思います。どうにかならないですかね、この問題(苦笑)。

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