eスポーツの選手寿命は20代。その後はどうなる? チームオーナーに聞くゲーマーのキャリア (2ページ目)

  • 都合亮太●取材・文 text by Togo Ryota
  • 小沢朋範●撮影 photo by Ozawa Tomonori

――オーナーとして、選手のキャリアについて話すこともあるのでしょうか? 特に、eスポーツ選手のセカンドキャリアは業界の課題として挙げられることも多いですよね。

西原 僕の場合、ZETAに加入してもらう際に必ずキャリアの話をします。選手なら現状の選手活動についてしっかり話し合いつつ、将来の話もします。選手は競技に集中しがちですが、ファンがいなければ何も成り立ちませんよね。だから、ファンに対する活動も選手自身が頑張らなくてはいけません。それが本人のためでもあり、チームのためにもなる。

「競技で結果を出すこと」は"目的"ではなく、本人が競技含めゲームをプレーして稼げるようになるための"手段"と考えなければキャリアは続かないと、具体的な話も交えて明確に伝えています。

 選手生命が短い点も必ず説明しますね。eスポーツの世界は想像以上に厳しいし、今後もさらに激化すると思います。一部の例外はありますが、選手としての全盛期はあっという間に終わる現実は必ず伝えています。

甲山 選手のセカンドキャリアって、実はどこにでもあると思っています。選手たちは情報を集めるのが速く、実際にリサーチを任せていることもあります。プロの世界を知っているからこそ、他とは違う情報も持っていますしね。コーチや講師、アナリスト、チームスタッフなどいろんな選択肢があります。

 だから、まずはファーストキャリアの整備こそが第一。ファーストキャリアでしっかり活躍すれば、ちゃんと生きていける世界を作りたいですね。そういう思いで練習環境を整えていますし、選手約40人に対して20人の社員も抱えています。

 ストイックな選手に対して全力でサポートしますが、逆に練習しない選手は厳しい目で見てしまいますね。僕が選手活動を諦めてオーナー業に専念した経験があるので、小さなジェラシーもあって(笑)。

西原 特に運営側の目線や演者としての意識も持てるような意識の高い選手は、重宝されますよね。そういう意識がある選手はまだ少ないですが、今後はどんどん増えてくると思います。

 とはいえ、まずは選手としての価値を高めることが重要です。eスポーツだと20代でキャリアが終わることが多く、特殊な事例でも30代がギリギリのラインです。そこは選手たちもわかっていて、この世界でどれくらい影響力を持てるか、勝つだけではなくSNSや配信も頑張れるか、自分のコミュニティを作れるか。自分のファンとダイレクトにコミュニケーションを取る部分は、最近の音楽業界とよく似ていますね。これをネイティブに理解して実践できるプレーヤーには先があると思います。

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