常勝・鹿島アントラーズがeスポーツに本腰。ナスリ獲得で次の一手は (2ページ目)

  • 渡辺静●取材・文 text by Watanabe Shizuka
  • 高橋学●写真 photo by Takahashi Manabu

 "若い層へリーチ"。これが、鹿島がeスポーツに取り組む目的のひとつだ。2019年のJリーグ全観戦者の平均年齢は42.8歳。22歳以下に限ると全体の11.3%ほどだ。Jリーグ全体としても、若い層へのリーチは喫緊の課題なのだ。

 ではどのような経緯で今に至っているのか。話は2019年夏にさかのぼる。メルカリが鹿島の株式を取得したのは同年7月のこと。もともとメルカリとして多種多様なエンタメがあるなかで、eスポーツへのスポンサーを検討していた。しかし、鹿島なら「eスポーツ」と「フットボール」を掛け合わせて相乗効果が見込めるため、eスポーツチームを持つことを決めた。

「eスポーツ事業への参入はすでに海外では当たり前。パリ・サンジェルマンやマンチェスター・シティといった海外の強豪クラブも『FIFA』のeスポーツ選手を抱えています。eスポーツチームを持つことでクラブのブランド価値が上がり、長期的に見ればスポンサー価値にもつながるでしょう」

『FIFA』では、世界最大級の大会「FIFA eワールドカップ」が存在する。国内でも、18年と19年に「eJ.LEAGUE」が開催された。eスポーツプレイヤーがJクラブの名前を背負い戦ったトーナメント大会だ。先行きは明るく聞こえるが、深見氏は「まだマーケット自体がない」と釘を刺す。

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