女子バレー日本代表は世界選手権で「ベスト8以上」を目指す。大成長した古賀紗理那、宮部藍梨のミドルブロッカー起用も注目 (2ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 VNLからプレ大会を通して、チームの現状が見えてきた。

 VNL後半で勢いが落ちた井上は、プレ大会ではスタメンを維持できるところまでは復調。遅咲きのエースだが、世界選手権ではVリーグMVPの意地を見せてほしい。セッターに関しては、VNLでは関菜々巳と松井珠己が激しくスタメンを争っていたものの、世界選手権に向けた合宿で松井が外れ、東京五輪の正セッターだった籾井あきが選出された。

 籾井は昨季五輪が終わったあと、Vリーグの前半は休養して後半から復帰。今年度の代表で途中からの選出になったのはケガが原因だったようだ。プレ大会を見る限り、第1セッターは関で間違いないだろうが、決勝のフランス戦は第1セットを奪われてから籾井にチェンジしたあとに流れが大きく変わったため、十分なアピールになっただろう。

 関はボールの下に走り込むのが早く、乱れたパスもトスにできる力がある。一方の籾井は、176cmと女子のセッターとしては長身で、サーブレシーブを高めに返しても大丈夫という安心感をレシーバーに与えることができる。タイプが違う2人を、世界選手権本戦でどう使い分けるのかに注目したい。

 プレ大会の決勝で不安をのぞかせたのがサーブだ。古賀が4セット合計で両チーム最多の26得点と、絶対エースの存在感を遺憾なく見せつけて勝利したが、チーム全体のサーブミスがなんと18点。これには眞鍋監督も「サーブで崩さないと世界相手には通用しない、と常に言っているが......」と苦笑い。「(サーブは)やはりメンタルでしょうね。世界選手権でも大きなカギになると思うので、あと少しですが精度やスピードを高めていきたい」と気を引き締めた。

 さらなる課題は、ミドルブロッカー陣。VNLから多くの選手を試してきたが、プレ大会でも横田真未、小川愛里奈、ベテランの島村春世とスタメンは定まらず、試合途中で選手を交代させていた。島村以外の2人は170cm台で、世界のミドルブロッカー陣に比べると高さはかなり劣る。そのためプレ大会中には、6年ぶりに代表復帰したアウトサイドヒッターの宮部藍梨(181cm)がミドルブロッカーとしても起用された。

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