屈辱の東京五輪から激変。日本女子バレーの快進撃を支える古賀紗理那の進化と新エース・井上愛里沙の台頭 (3ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • photo by FIVB

セッター争いも激化

 東京五輪で課題が見えたセッターは、現時点では関が一歩リードという印象。第3戦からスタメンで起用され、ミドルブロッカーやバックアタックも積極的に使っている。

 日本はセッターの身長が低い傾向が強いこともあり、セッターにもリベロ並みのレシーブのよさが求められてきた"伝統"がある。関の課題はまさにディグ(スパイクレシーブ)だったが、そこは改善が見られている。新たな課題は、古賀とのコンビの精度だろうか。古賀は速いトスを打ちこなすタイプのため、その要求にどれだけ応えられるかがスタメン定着のカギになるだろう。

 大会の第2週からは宮下遥(岡山)もベンチインして、セッターが3人体制になった。ポーランド戦では試合の最後に、松井と共に宮下もコートに立つ場面も。宮下はライトへのトスを得意とし、ブロックやサーブ、ディグも能力が高く、途中交代で流れを変える役割も期待される。3人の中では最終予選や五輪を経験した唯一のセッターであるため、その経験をどう生かしていくのかも注目される。

 7月3日まで続く大会の今後の見どころのひとつは、6年ぶりに代表に招集された宮部藍梨をどう使うかだろう。

 宮部はナイジェリア人の父を持ち、181cmの身長と身体能力の高さを買われ、金蘭会高校時代にシニア代表に抜擢されて話題に。高校卒業後はアメリカのサウスアイダホ大学に留学。その後、ミネソタ大学に編入してバレーを続け、今年5月30日にヴィクトリーナ姫路への入団を発表した。

 VNLの第2週は、登録メンバー14名には入らなかったものの、チームに帯同することになった。プレーの機会がありそうなのは第3週以降だが、試されるのは日本の速いバレーへの対応だろう。そこで古賀、井上に並ぶ決定力を証明できれば、ロンドン五輪チームのような「3枚エース体制(木村沙織、江畑幸子、迫田さおり)」も夢ではない。

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