セリエAで自信を得た西田有志。「日本ぽくないバレーにも挑戦する必要がある」と代表チームのけん引役に名乗り (2ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • photo by Italy Photo Press/アフロ

 対戦前には、FIVBの公式アカウントである「バレーボールワールド」もSNS上で2人を紹介するなど、「注目されてるのを感じた」という。

「僕たちのチームは降格するかどうかの"崖っぷち"だったし、対決を楽しむのは難しかったです。ただ、そうやって取り上げてもらえるのは光栄だし、今後も注目に値するような選手でありたいと思います」

 試合は髙橋が所属するパドバが勝利したが、その試合のMVPに選ばれたのは西田だった。もしかすると、このMVPはその1試合だけではなく、シーズンを通しての頑張りに対してのMVPだったのかもしれない。

 西田はケガによる離脱があったにもかかわらず得点ランキング17位、サーブ得点ランキングは3位につけた。13チーム中12位となったチームにおいて、孤軍奮闘していたことがわかる。西田自身、今シーズンの手応えはどうだったのか。

「よく戦いきれたとは思います。ただ、ケガもあって思うようなプレーができなかったことは、チームが降格した要因のひとつでもあるので、心境的には複雑ですね」

 ビーボの会長も、今季にチームが低迷した理由として、「ブラジル代表のダグラス・ソウザがチームに馴染めずに離脱したこと、あとは西田のケガが大きかった」と話した。それだけ西田の存在が、チームにとって大きなものだったということだろう。

「チームから信頼してもらっているのを随所に感じました。なかなか僕が結果を出せない時でも、しっかりと起用してくれたので感謝しています。加入1年目からこれだけ使ってくれることはなかなかないことだと聞いていますし、ためらいなく起用してくれたことが嬉しい。その中で、これまで以上に"考えて"プレーができていたと思います。

 言葉の壁も、苦しんだのは最初だけでした。最初は英語で、だんだんイタリア語でもコミュニケーションが取れるようになった。チームメイトは優しくて、『うまい。ちゃんとわかるよ』と褒めてくれるので、もっとイタリア語で話そうという気持ちにさせてくれる。リーグの最後のほうは、練習や試合中のやりとりもイタリア語でした。ちなみに、美容室もイタリア語で好みの髪型にしてもらえるようになりましたよ(笑)」

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