「現役大学生Vリーガー」大塚達宣が窮地のパナソニックを救った。ファイナル3進出の救世主を敵将も「チームの中心になれる」と称賛 (2ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • 火野千鶴●撮影 photo by Hino Chizuru

何度もVOMに選出される活躍

 だが、翌週の大分三好ヴァイセアドラー戦からは一変。パナソニックから新型コロナ感染者が出て、チームの中核であるクビアク ミハウもベンチ外となり、大塚が土日の2試合ともスタメンで起用された。

 土曜日の試合は敗れたが、大塚はスパイク16得点、ブロック3得点、サーブでも1得点と得点数はチームトップ。翌日はVOMに選ばれる活躍でチームを勝利に導いた。そこから大塚は、ほぼ毎週のようにVOMを獲得していく。「物珍しさ」はあっという間になくなり、チームの中心選手になった。

 大塚のデビュー戦以降、パナソニックはレギュラーラウンド終了までに17勝しているが、そのうち6試合で大塚がVOMを獲得。規定出場試合数には満たないものの、アタック決定率は55.6%と、外国人選手も含めてトップの数字を残した。

 大塚はパナソニックの下部組織、ジュニアパンサーズの出身だ。パナソニックの本拠地・大阪府枚方市の出身で、ジュニアパンサーズ時代はパナソニックアリーナで行なわれるホームゲームでボールリトリバーを務め、清水らにボールを手渡していたという。

 しかし、パナソニックに加入することを決めたのはその縁だけではなかった。現チームの監督は東京五輪でフランス代表の指揮を執り、金メダルを獲得したティリロラン監督。さらに、世界バレーを連覇したポーランド代表の主将も務めたクビアクもいるため、「世界最高峰レベルの指導、プレーを肌で感じたかった」という思いもあったようだ。

 ともに東京五輪を戦った石川祐希や西田有志、同じ大学生の高橋藍(日本体育大3年)はイタリアのセリエAで、セッターの関田誠大はポーランドでプレーしている。大塚にも海外志向がなかったわけではないが、セカンドキャリアで教職を目指していることもあり、学業や、早稲田大学のチームから離れすぎるのもよくないという考えもあり、国内のパナソニックでのプレーを選んだ。

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