狩野舞子が他競技の選手を取材して感じた、バレー界に足りないもの。引退後のキャリアにも言及した (2ページ目)

  • text by Sportiva
  • photo by Murakami Shogo

――ネット番組の「知るスポ!」では、他競技の選手に話を聞くMCを担っていますね。

「自分が話を聞く側になることは、やってみたかったことのひとつです。事前にいろんな番組を見て勉強したつもりでしたが、実際やってみるとすごく難しくて......。質問をする時も、聞きたいことを自分で言ってしまって、相手が『はい』としか答えられないこともありました。話を聞く時は頭をフル回転させているので、毎回頭が痛いです」

現在は自身のYouTubeチャンネルをはじめ、幅広い分野で活躍する現在は自身のYouTubeチャンネルをはじめ、幅広い分野で活躍するこの記事に関連する写真を見る――これまでは、フェンシング、ボルダリング、バドミントンなど、個人で戦うことが多い競技の選手が続いていますね。

「意識していませんでしたが、結果的にそうなっていました(笑)。ただ、個人競技で活躍している選手たちのマインドは以前から知りたかったです。試合の結果がほぼ自分の責任になるから、相当に心が強いんだろうと思っていたので。

 バレーは、自分の調子が悪くてもチームが勝つこともある。ただ、取材した選手たちは『ひとりで戦うから逆に楽なんです。他のメンバーに左右されることがないから』とも話していました。それを聞いた時に、『私には無理だ』と思いましたよ(笑)」

――さまざまな選手に話を聞いたなかで、特に印象に残っている話などはありますか?

「団体戦の話になるんですが、男子フェンシングのエペ団体で金メダルを獲得した見延和靖選手の話ですね。私もテレビで見ていて、見延選手が途中から試合に出なくなったことに『なぜだろう』と思っていたんです。五輪の団体戦では、控えのメンバーと交代したら戻れないのですが、それはあとで知りました。

 のちにインタビューして、見延選手は交代を自己申告していたことも初めて聞きました。ずっとスタメンの3人で戦ってしまうと、リザーブだった宇山賢選手はメダリストとして扱われずにメダルがもらえないので、『どこかで交代を』と思っていたそうなんです。それで初戦でピンチがきた時に交代したんですが、たとえ決勝の最後までピンチがこなくても、自分が交代すると伝えていたと聞いて鳥肌が立ちました。アスリートとしては、出続けたいと思うことが普通だと思っていましたから。

 その試合を含めてフェンシングを楽しく見られましたが、それは東京五輪の前にフルーレの宮脇花綸選手に話を聞き、基本的なルールを知れてことが大きかった。私も今後は、そういうきっかけを作っていきたいです」

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