男子バレー西田有志がセリエAで新たなスタート。それでも「海外だけが正解じゃない」と話す理由 (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari

 当然、リーグには各国の主力選手が名を連ねている。東京五輪で優勝したフランス代表のイアルバン・ヌガペト、準々決勝で日本が敗れたブラジル代表のルカレッリ、イタリア代表のエースであるイバン・ザイツェフなど、挙げだしたらキリがない。

 西田は移籍前から、サーブが世界トップクラスの速度を誇るザイツェフとSNS上で交流があった。イタリア代表とは東京五輪の予選ラウンドでも戦ったが、選手村で顔を合わせる機会があったようで、「バレーの話はしませんでしたが、『会えてよかった』というやりとりをしました。短い時間でしたけど、イメージどおり優しい人でしたね」と振り返った。

 そして日本代表のエース・石川祐希も、今やリーグを代表する選手のひとりになっている。イタリアでのプレーは今季で7シーズン目。昨シーズンから所属するパワーバレー・ミラノでは、レギュラーシーズンでチームトップの得点を記録してチームを牽引した。

「イタリアでのプレーについては、かねてから祐希さんに相談していました。いろいろ話を聞かせてもらって、バレーだけじゃなくて食事など普段の生活などについても、なんとなく想像することができましたね。練習時間、リーグの期間は変わるけど、そこまで日本にいる時と大きな変化はないような気がします。

 アドバイスもたくさんもらいましたが、『とりあえずイタリア語は覚えておいたほうがいい』とのことだったので勉強しましたよ。幸い、ジェイテクトの通訳がイタリア語も話せるので、彼に習いました。日常会話はまだ無理ですが、バレー用語に関してはだいたい大丈夫だと思います」

 ミラノとヴァレンティアの今季初対戦は、現地時間11月3日。石川との日本人対決を楽しみにしているファンも多いだろうが、西田は「話題にはなるかもしれないですけど、祐希さんと戦いたくてセリエAに行くわけじゃないですからね(笑)。僕個人が選手としてのレベルを上げるためなので、そこはブレないようにしたい」と話した。

 できるだけ長くイタリアでプレーし、成長していく――。それが海外挑戦の目標かと思いきや、西田は首を振った。

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