男子バレー髙橋藍が五輪から早くも進化。かつて西田有志を控えに回したサウスポーも上々デビュー (2ページ目)

  • Text by Sportiva
  • 縞茉未●撮影 photo by Shima Mami

 海外チームとの試合になると、髙橋はバックアタックのほうが決定率が高くなる傾向がある。しかしアジア選手権では、石川がサーブで崩された時などにしっかりと前衛でも得点し、五輪からの短期間で進化を見せた。

 欧米の上位国相手に通用した守備力は健在。髙橋が入ることによって石川がサーブレシーブの守備範囲を狭めることができ、負担が軽減された。リベロの山本(智大)が、どちらかと言うとサーブレシーブ型ではなくスパイクレシーブ型であることからも、石川の対角には髙橋がフィットしたと言える。

 ネーションズリーグで代表公式戦デビューを果たした際、髙橋は海外のメディアから「目標とする人は?」と聞かれ、少し考えてから「今はとにかく身近にすばらしいお手本がいるので......石川キャプテンが目標です」と、はにかみながら答えた。五輪後には、自分と同じポジションで、セリエAという世界最高のリーグで長く活躍する石川のように「自分もできるだけ早く海外でプレーしたい」とも口にしている。

 今季からの海外挑戦についても問われたが、「大学との関係もありますし、詳しくはまだわかりません。これからはしっかりと意思表示して、考えていこうと思っています」と答えるにとどめた。日本人初のオポジットとしてイタリアでプレーすることになった西田は異例だが、これまでの傾向を見る限り、欧米のチームは日本人選手に対してまず守備力を求める。サーブレシーブに関しては石川を上回る安定性があり、髙橋も「東京五輪でも手応えを感じた」と自信を口にしているだけに、十分にチャンスはあるだろう。

 髙橋は現在、日体大の2年生。今後は大学バレーの秋季リーグの戦いに臨む。北京五輪、東京五輪を経験した清水邦広は、国際大会と国内のVリーグとのブロックの高さ、サーブの威力の差には「慣れが必要」と話す。世界でもトップクラスの選手が多くプレーするVリーグでもそうなのだから、大学ではそのギャップがより大きく、合わせるのが大変に感じるかもしれない。

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