キャプテン石川祐希の「スタイル」を荻野正二が絶賛。パリ五輪へ2m級の新戦力にも期待 (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • photo by FIVB

――キャプテンとしてチームを牽引した、石川祐希選手のプレーはどうでしたか?

「プレー面では、試合を重ねるごとに疲労が溜まっていたようにも見えましたが、特にカナダ戦でのスパイクはすばらしかった。打点が高い強打だけではなく、軟打もうまく使えていましたね。ブロックをよく見て得意のクロスを打ったり、相手フロアにスペースが空いたらプッシュで落としたり。サーブもミスが少なく、いいところを狙っていました。あとは、ブロックがよくなりましたね。高さがあって手の出し方もいい。随所でイタリアでの経験が活きているのを感じます。

 キャプテンとしては、周りに声をかける姿が印象的でした。コートに入る時、ベンチでもアドバイスをしていた。『自分がチームを引っ張らないといけない』という気持ちが、自然に出てきたんじゃないでしょうか。最初は難しかったと思いますが、試合を重ねるごとに自分なりのキャプテンの"スタイル"を見つけたのかなと思います。とりわけ、対角を組んでいた髙橋藍選手は安心してプレーができたでしょうね。

 西田(有志)選手も、セッターの関田(誠大)選手がうまくトスを散らしていたのもありますが、石川選手がいる安心感からスパイクの決定率を上げられたんだと思います。自分だけが決めなくても、髙橋を含めた2人がなんとかしてくれる。そんな相乗効果で攻撃がよくなったように感じました」

――荻野さんもキャプテンとしてチームを北京五輪に導きました。ご自身の時と比べていかがですか?

「僕がキャプテンの時は控えからのスタートが多くて、途中で入る時は『やばいな』という場面が多かった(笑)。雰囲気を変えるために少しオーバーに感情表現をしたり、当時の主力だった石島雄介選手(現ビーチバレー日本代表)もけっこう繊細でしたから、不安そうだなと思ったら声をかけたり。僕は年齢的にもけっこう上でしたから、みんなもついてきてくれましたけど、雰囲気づくりは気を遣っていました。

 石川選手はフルで試合に出ていましたが、リードしている時はそこまで声をかけず、競り合っている時、劣勢の時は積極的に声をかけていた。『全部自分がやらないと』と思いすぎると自分が潰れてしまいますからね。今大会は、五輪経験者の清水邦広選手がいたことでラクだった部分があるでしょうけど、状況をしっかりと見極めていたと思います」

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