バレー髙橋藍のプレーに海外も衝撃、人気度も大幅UP。初五輪で得た収穫と今後の課題 (2ページ目)

  • 高井みわ●取材・文 text by Takai Miwa
  • photo by AFLO SPORTS

 第2戦の相手はネーションズリーグでストレート負けを喫したカナダ。髙橋は前衛での攻撃がなかなか通らず、高梨健太と交代する場面もあったが、セットカウント2-1とリードして迎えた第4セットに見せ場が訪れる。自身のサーブで相手を崩し、サーブレシーブが日本のコートにそのまま返ってくると、髙橋はバックアタックを打つと見せかけて石川祐希にトス。石川はそれをノーブロックで決めた。

 フェイクトス、またはフェイクセットと呼ばれるプレーで、2019年のW杯では石川が西田有志に同じようにトスして話題になった。その技を髙橋も自分のモノにして、オリンピックの舞台で堂々と使いこなす姿は海外メディアにも取り上げられるほどの衝撃を与えた。

 日本は2連勝のあとにイタリア、ポーランドに敗れ、決勝トーナメント進出がかかったイラン戦を迎える。大舞台の経験が少ない選手であれば、プレッシャーに負けて調子を崩してもおかしくない。しかし髙橋は、西田有志(30得点)、石川(20得点)に次ぐ19得点を記録し、フルセットの激闘を制する原動力になった。

 準々決勝の強豪ブラジルにはストレート負けを喫したが、第3セットは一時大きく先行する場面もあるなど、どのセットも一方的な展開ではなく食らいついて戦うことができた。髙橋はサーブレシーブこそ安定していたものの、スパイクでは3得点のみ。3年後のパリ五輪に向けてリベンジの気持ちが高まったかもしれない。

 あらためて全試合を振り返っても、髙橋の守備での貢献はすばらしかった。ブロックの得点はもう少しほしいところだったが、アンダーカテゴリーの経験もなかった選手が、短期間で世界の強烈なサーブを受けるテクニックを身につけ、五輪の舞台で"守備の要"に成長したのには驚きしかない。

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