日本男子バレーはブラジルとどう戦うべきか。元代表キャプテン荻野正二が考える「狙いどころ」 (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • photo by FIVB

――29年前と比べて、日本のチームの予選の戦いはどうでしたか?

「バルセロナ五輪の時は、現代表監督の中垣内(祐一)さんが絶対エースで、他の選手たちがなんとかつなぐ、というパターンが多かった。でも今回は、両レフトの石川(祐希)選手と髙橋(藍)選手、オポジットの西田(有志)選手がバランスよく打っているので、攻撃力はずっと上ですね。イラン戦の序盤で、石川選手の調子が少し上がらなかった時に耐えられたのも、髙橋選手、西田選手のおかげだと思います。そうして調子を上げてからの石川選手は"これぞ絶対エース"という活躍でした」

――髙橋選手はまだ19歳ですが、ここまでの活躍をどう見ていますか?

「どんなに威力のあるサーブがきても、レシーブでのミスがないですよね。Cパス(セッターに返らないサーブレシーブ)もほとんどないですし、その技術はすごいと思います。リベロの山本(智大)選手、石川選手と3人でサーブレシーブができているのも大きい。仮に石川選手が崩れることがあるとカバーする必要がありますが、ここまで安定しているので、髙橋選手も自分の範囲のボールを取ることに集中できているのでしょう。

 守備のあとに、スパイクの助走に入る"切り替え"も速い。高校、大学でやっていることを、オリンピックでも変わらずにやれていると感じます。スパイクの技術も高く、しっかりストレートに打ったり、ブロックの低いところを狙ったりできている。サーブレシーブに余裕があるから、冷静に相手のブロックを見られているんだと思います」

――今大会はバックアタックもよく決まっていますね。

「あれは、パスの精度が高さも大きく影響するので、セッターの関田(誠大)選手がうまくトスを上げているということ。データ的には石川選手のほうが打数が多く、相手チームからのマークも厳しいところを、関田選手がよく見ています。ミドルを含めた"4枚攻撃"を毎試合やっているので、ファンの方たちも見ていて面白いんじゃないでしょうか」

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