女子バレー岩坂名奈が思い出す中田久美監督の言葉。「あのプレー、何を考えていたの?」 (3ページ目)

  • Text by Sportiva

――ただ、翌年のロンドン五輪は、最終メンバーに残ることができませんでした。

「チームは最終予選で出場権を獲得できた一方で、私は『何もできなかった』という思いしかありませんでした。もちろんメンバー落ちは悔しかったですけど、理沙が本戦で活躍しているのを見て自分を奮い立たせました」

――そんな2012-2013シーズン、前シーズンに久光のコーチを務めていた中田久美さんが、同チームの監督に就任します。そして3冠(皇后杯・Vプレミアリーグ・黒鷲旗大会)を達成するわけですが、岩坂さんから見た中田監督の印象は?

「初めはピリっと緊張感があるように感じましたが、すぐに、一番に選手のことを考えてくれる監督とイメージが変わりました。長く時間を割いて、選手それぞれに必要なことを伝えてくれた。これは全選手に共通することですが、普段の生活とプレーをする時のスイッチの切り替えや、目の前の1点へのこだわりなども教えてもらいました。

 プレーの意図に関しても意識が変わりましたね。ある日の練習で、『あのプレーをする時に、何を考えていたの?』と聞かれて答えられないことがあったんです。それ以降、ひとつひとつのプレーを"なんとなく"でやらないよう練習から気をつけるようになりましたし、目標の『優勝』という言葉もより具体的に、どうしたらそれに近づけるかを考えられるようになりました」

――試合ではどうでしたか?

「試合での指示はそんなに細かくはありません。『練習でやったことを出し切ろう』という感じで、チームがうまくいかない時は声をかけてくれました。その頃は、目の前の試合をどう勝ち切るかにこだわっている間にあっという間にシーズンが終わって、結果がついてくる。その繰り返しだったように思います」

(後編:悩む日もあった代表キャプテン時代)

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