ビーチバレー坂口佳穂「自分が五輪を目指すなんて考えてもいなかった」

  • 小崎仁久●取材・構成 text by Kosaki Yoshihisa
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 礼華が負担を感じずにノビノビとプレーできることが、チームとしては一番いい形。そのためにも、しっかりサイドアウトを切るなど、私がやるべきことは常に意識しています。でも、試合では私が狙われることが多いので、大変になってくると、『礼華ごめん、助けて』ってお願いしています(苦笑)」

――昨シーズンは国内ツアーだけでなく、海外のワールドツアーも3月以降中断。予定していた試合がなくなって、トレーニングも思いどおりにできなかったのではないですか。

「2カ月間ぐらいは活動を自粛していたので、その間は自宅でできるトレーニングや、近所の公園で体を動かすことぐらいしかできませんでした。でも毎日、トレーナーからメニューをもらってトレーニングをしていて、体力の落ち込みはありませんでした。どんな時でも『やれることはある』とポジティブに考えていました。

 試合勘はついては、とても難しかったです。いくら練習でいいプレーができても、試合でできないと意味はないので、それは不安でした。ですから、ゲーム形式の練習は多く取り入れていました。それでも、やっぱり緊張感など本番とは違うので、試合と同じ感覚は、試合の中でしかつかめませんでしたね」

――昨シーズンはフィジカルトレーニングを重点的に行なってきたと聞きました。

「パワー、スピード、体力、すべてのフィジカルを上げるトレーニングをしてきました。簡単ではないですが、やらなければ何も変わっていかないので、がんばってきました。自分でも身体は変わってきたと思います。上半身をメインにトレーニングをしていて、かなり筋肉もついてきました」

――目標のひとつでもあった東京オリンピックが延期となって、日本代表チーム決定戦も延期されました。1年という時間をどう過ごしてきましたか。

「(オリンピックの)延期にはとても驚きましたが、私たちにとってはプラスになると思いました。チームとして成長できる時間ができたので、それに向かってポジティブに取り組めたと思います。

 特にフィジカルの向上は、私たちが理想とするプレーやゲーム展開には必要なので、その強化にはいい時間がもらえました。今年に入ってからは基礎練習が中心で、何度も何度も同じ練習を繰り返して、基礎を作ってきました」

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