大友愛はバレー部の娘に伝えた。「比べられるのが嫌だったらやめていい」 (3ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

――現役復帰後に、プレーをしながら育てていた娘さんは、現在何歳になりましたか?

「今は14歳で中学2年生です。共栄学園のバレー部に入っていて、身長も180cmくらいありますよ。まだ線は細いんですが、先輩たちが引退してからはスタメンで出場する機会が増えたみたいです」

――ポジションはどこですか? 大友さんの現役時代と同じミドルブロッカーでしょうか。

「どのポジションというのは、ちょっとわからなくて......。共栄学園では、ツーセッターは定番ですが、今はスリーセッターをやっているとも聞きました。いろんなポジションで経験を積ませてもらっているようです。

 以前は、私のように日本選手の中で背が高い(184cm)選手はミドルブロッカーになることが多かったですけど、今はサイドアタッカーにもサイズが大きい選手もいます。もしセッターになったとしたら、高い身長が武器になりますよね。今はあらゆる可能性を試してほしいです」

――共栄学園といえば、東京都の中でも屈指の名門です。どういった基準で選んだんですか?

「私が指定したわけではありません。何校か見学した娘が『共栄学園に行きたい』と言ったからです。今後も娘が何かを選択するときには、できるだけ多くの選択肢を用意してあげて、やると決めたことをとことん頑張ってほしいです。本当は、中学生になる段階で決断をさせるのは早いのかな、とも思ったんですけど、『自分の選択は間違っていなかった』と思えるように努力してほしかったので」

――大友さんもバレーを教えることはあるんですか?

「私がいろいろ教えるのは、指導者の方も嫌でしょうからやっていません。でも、プレーを見ちゃうと『下がるのが遅いよ』とかついつい言ってしまうので(笑)、なるべく試合は見ないようにしています。

 でも、これから"大友愛の娘"という目で見られることが多くなるだろうことは伝えていて、『比べられるのが嫌だったらバレーをやめてもいい。好きなことをやるなら応援するよ』とも言っています。自分のレベルが高くなるにつれて、私と比べられることが多くなるでしょうから。心も成長過程なので、いろいろな思いを抱くだろうことは覚悟しています。

 私も若い頃は誰かと比べられるのが嫌で、『私は私』と思っていました。注目してもらえるのは、アスリートにとっては幸せなことですけどね。それを重荷にせず、娘らしくバレーボールを楽しんでもらえたらと思っています」

■大友愛(おおとも・あい)
1982年3月24日生まれ。宮城県仙台市出身。中学校からバレーをはじめ、仙台育英学園3年生の時に世界ユース選手権優勝を経験。2000年にNECレッドロケッツに入団し、日本代表にも選出される。2006年に一度は引退するも2008年に復帰し、2012年のロンドン五輪で銅メダル獲得に貢献。2013年に引退し、現在は4児の母。

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