渋谷のビーチバレーコートから東京五輪へ。驚異のアラフィフ西村晃一が目指す道 (2ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

拠点の宮下パークのビーチバレーコートで練習を行なう西村 photo by Ray Yamaguchi拠点の宮下パークのビーチバレーコートで練習を行なう西村 photo by Ray Yamaguchi 18年という西村のキャリアは日本のビーチバレー選手の中で群を抜いているが、現在ペアを組んでいる柴田大助は約20歳年下の選手。東京五輪開催が今年だった場合、出場権を争うには数カ月ほど準備期間が足りないと西村は感じていたようで、五輪の延期によってその時間ができたことをポジティブに捉えているという。

「僕は背が高くないし、年齢も重ねてきているし、戦う上でアドバンテージがある選手ではない。だけど、何よりもバレーが大好きで、オリンピックが1年延期されたから短くともあと1年はビーチバレーがやれる。その喜びが僕を突き動かしています。

 オリンピックの出場権を取るだけじゃなくて、そこで勝たないといけないこともわかっています。そうじゃないと、ビーチバレーの魅力や、スポーツが人の心を動かす喜びなどを広く伝えることはできないんじゃないかと。小さくても年老いても頑張れることを証明して、少しでも多くの方に元気を、子どもたちに夢を与えられる選手になりたいです」

 その思いが現実になったもののひとつが、今年7月に開園した渋谷の「宮下パーク」の屋上に作られたビーチバレーのコートだ。 これまで国内のビーチバレーの試合は、都心から離れた砂浜で行なわれることがほとんどだったが、その常識を覆した。9月にはウィンズ主催の公式試合も行なわれ、多くの関係者や観客が詰めかけた。

「渋谷駅から近く、商業施設と融合した宮下パークは、ビーチバレーの中心地になるには絶好の環境です。また、僕たちウィンズに所属する選手たちがホームコートとして練習することで、多くの方がそれを見てくれると思うので、少しでもビーチバレーに興味を持ってもらえたらうれしいですね。現在は子どもたちに向けたスクールも開催していて、さらに裾野を拡げていく活動もしていく予定です」

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