2020.07.14

王者との決戦で「自分に腹が立った」西田有志。悲願達成後の涙の理由

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 火野千鶴●撮影 photo by Hino Chizuru

 一方のジェイテクトは2位でファイナルに進出。2019-20シーズンで採用された変則的なトーナメントで、準決勝から戦うことになった。ジェイテクトはそこまで勝ち進んできたサントリーを下し、決勝で待ち構えていたパナソニックとの最終決戦に臨んだ。

 その試合は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で無観客になることが決まった。一時は「中止」というニュースも流れたが、そうなればリーグの規定により、レギュラーラウンドで順位が高かったパナソニックが優勝となっていた。のちに西田は、「試合がなくなったらその時点で(ジェイテクトは)2位だった。いろいろな困難を乗り越えて、試合を開催していただいたことに感謝しています」と振り返っている。

 2月29日、観客席に両チームのフラッグが敷き詰められた中で試合がスタート。パナソニックは、西田、カジースキというジェイテクト両エースのサーブで失点することを避ける策が奏功し、一度もリードを許さずに第1セットを先取した。

 しかしジェイテクトは、スタメンで起用した"パナソニックキラー"金丸の活躍などで第2セットを取り返す。続く第3セットは終盤までパナソニックにリードされたままだったが、苦しい場面で西田がサービスエースを決めるなど逆転し、ジェイテクトが王手をかけた。

 第4セットも先にマッチポイントを迎えたのはジェイテクトだった。だが、西田がブロックでシャットアウトされるなど、2度のチャンスを決めきれず逆転を許し、フルセットに持ち込まれた。

 そのセットを落とした後の西田は、「めちゃくちゃ自分に腹が立っていました」と頭に血が上っていたという。第5セットにも影響が出かねないと判断した主将の本間隆太は、若きエースをなだめようと声をかけ続けた。試合後に「それでなんとか落ち着きを取り戻したようです」と本間が話したように、西田はセット間に冷静になることができた。