2020.06.27

西田有志とは「何者なんだ?」の衝撃。
Vリーグデビューでいきなり活躍

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • 黒羽白●撮影 photo by Kurobane Shiro

 高校3年時のインターハイではベスト16に進出したが、全国大会に出場したのはその1回のみ。ほぼ無名の選手だったため、Vリーグの関係者もメディアも「あの高校生は何者なんだ?」と驚いていた。

 例は少ないが、高卒でVリーグ入りした選手がいきなり活躍するのは難しい。2002年、岡谷工業高校(長野)3年時に日本代表に抜擢され、サントリーサンバーズに入団した越川優も、スタメンで試合に出場したのは5月の黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会が初めて。その他の高卒の選手たちも、チームが大きくリードしている時や、スタメンを休ませたい時などにポイントで起用されることがほとんどだった。

 数年はチームで体作りをしながら出場の機会をうかがうものだが、芽が出ないまま、後から入団してきた同学年の大卒選手の影に隠れてしまうケースもある。そんな前例を覆した西田を、自身も高卒Vリーガーとして活躍したサントリーサンバーズの荻野正二監督も、「あんな高校生おらんでしょ。普通やないよ、彼は」と絶賛した。

 そんな快挙を成し遂げられたのは、春高本戦に向けて行なっていたピーキングのお陰でもあるが、当時ジェイテクトSTINGSの監督を務めていたアーマツ・マサジェディ(現VC長野トライデンツ監督)が思い切って西田を起用したことが大きい。

 アーマツは、世界的な名将であるフリオ・ベラスコがイラン代表の監督だった時にコーチを務め、チーム作りに対する考え方、トレーニング方法などを受け継いだ。その知見を求められ、2015年には日本代表のアドバイザーコーチに就く。彼の指導を受けた清水邦広と柳田将洋は、「アマド(アーマツの愛称)には、それまでの自分が知らなかった、役に立つ指導をしてもらった」と口を揃えた。

 アーマツは2016年12月にジェイテクトのコーチに就任。2017-18シーズンは監督としてチームを率いていたが、そこに西田が内定選手として加入した。ジェイテクトの関係者は、「数年のうちに活躍できるようになれば」と西田を紹介したという。しかし、アーマツは「実際に見てみなければ判断がつかない」と、春高予選で敗退して時間ができた西田をジェイテクトの練習に参加させた。