2020.06.16

西田有志が母に怒られて凹んだ日。
「一番の挫折を味わった瞬間」

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

海星高校のエースとして活躍した西田(写真提供/母・美保さん) しかし最終セットの途中、西田の体力が限界を迎えた。高校生の通常の試合は3セットマッチだが、春高出場をかけた決勝だけは5セットマッチになる。エースとして、試合開始から全力でスパイクを打ち続けた西田の体がもたず、両足がつってベンチに下がらざるを得なかった。

 その後もコートに戻ることはできず、松阪工業の勝利を見ることしかできなかった。試合後、号泣する西田に対して、母の美保さんは「お前のせいで負けたんやぞ!」と叱責したという。

 かつて実業団でバスケットボールをプレーしていた美保さんは、勝負の世界の厳しさをよく知っている。西田も、「スポーツでは厳しい指摘は当たり前のことです。自分の力のなさを感じましたし、それまでの自分が甘すぎました」と振り返る。

「海星高校は全国に出たことがないチームだったので、先輩をはじめチームメイトをその舞台に連れていきたかったですし、僕自身も行きたい気持ちが強かったので……。その時が、これまでに一番の挫折を味わった瞬間かもしれません。あの敗戦のあとは、プレースタイルじゃなく、練習方法、食事などから自分を変えていきました」