西田有志、圧巻の「個人賞2冠」。絶対エースは初優勝へ突き進む! (3ページ目)

  • 高井みわ●取材・文 text by Takai Miwa
  • 火野千鶴●撮影 photo by Hino Chizuru

 その勝利でチームは単独首位に立ち、向かうところ敵なしかと思われた。だが、ほかのライバルチームたちもレギュラーラウンド終盤戦にかけて勝利への執念を燃やしていた。

 1月26日に対戦したサントリーサンバーズは、荻野正二監督が"奇襲"を仕掛けた。218cmのロシア人オポジット、ドミトリー・ムセルスキーをライトではなくミドルでブロックに飛ばせ、ライトから本来のミドルブロッカーが攻撃。ジェイテクトは混乱を収めることができずストレート負けを喫した。

 試合後、西田は「ひっさびさに負けたんで、複雑です」と口をへの字に結んだが、若きエースは敗戦を引きずらない。次戦の1月31日、Vリーグでは珍しいナイターで行なわれたホームゲーム(対FC東京)で、サービスエース3本、スパイクは32打数17得点で決定率53.1%という高い数字を残し、勝利に貢献した。その前日に20歳になった西田は、ヒーローインタビューで「夜も遅いので、みなさん気をつけてお帰りください」と、新成人らしからぬファンへの気遣いも見せた。

 2月8日にはパナソニックと3度目の対戦。勝ったほうが単独首位に立つ直接対決で、ジェイテクトは絶対王者にストレートで屈した。痛い敗戦となったが、それでも西田は「正直に言って、今日の自分は調子がよくなかった。パナソニックさんにしてやられた。チームとしても反省する点が多々あるが、リーグは続いていくので引きずらず、前向きに戦っていきたい」と淡々と語った。

 西田の「引きずらず」の言葉どおり、ジェイテクトは翌日のJTサンダーズ広島戦をセットカウント3-1で勝利し、レギュラーラウンド2位を確定させた。

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