過熱する西田有志フィーバー。
19歳エースの成長が止まらない

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari

 西田は順調に得点を重ねており、11月29日時点のランキングで、外国人選手が上位を占める総得点数部門の3位(191点)。さらに、"ビッグサーバー"の基準となる120km前後の球速を記録し、相手チームの選手も「ほぼバックアタックを受けているのと同じ」と舌を巻くサーブでの得点は、チームメイトのカジースキ(20得点)を上回る25得点でトップだ。

 とくに圧巻だったのは、東レアローズに3-0のストレート勝ちを収めた11月17日のアウェーでの試合。3セット合計で7本ものサービスエースを奪い、何度も派手なガッツポーズが飛び出した。それについて西田本人は、「(派手なガッツポーズは)ダサいと思われるかもしれないですけど、こうやって感情を表現することで、お客さんたちがもっと乗ってもらえたら」と話した。石川や柳田といった海外でプレーする先輩たちに、Vリーグを託された身として「自分が盛り上げていかなきゃと思っています」と意気込みを口にする。

ジェイテクトのホーム会場には、チケット完売を知らせる張り紙も photo by Nakanishi Mikariジェイテクトのホーム会場には、チケット完売を知らせる張り紙も photo by Nakanishi Mikari 西田がチームでつけている背番号14は、学生時代に憧れていた石川と同じ。日本代表として初めてワールドカップを一緒に戦い、憧れの存在だった石川はチームメイト、互いを高め合うライバルへと変わった。実際に、大会初日のイタリアに勝利したあとのインタビューでは、次のようにコメントしている。

「(石川の)プレーと人気のすごさはよくわかりました。でも、自分も負けないようにどんどんやっていきます」

 ワールドカップで日本の躍進を目にしたバレーファンの中には、来年の東京五輪でのメダル獲得に期待を寄せる人も多いだろう。ワールドカップに参加した海外チームの中には、主要メンバーを招集しなかった国もあったため、五輪でも同じような戦いができるとは限らない。それでも、西田が大会までにさらなる成長を見せれば、1972年ミュンヘン五輪以来となる快挙達成の可能性も高まるはずだ。

 昨シーズン、Vリーグのレギュラーラウンド上位チームで順位を争うファイナルステージに、もう一歩のところで進出できなかったジェイテクト。その雪辱に燃えるチームを、エースとしてけん引する西田のプレーから目が離せない。

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