日本バレーが28年ぶりの4位と躍進。2つの武器が好調の要因だった (4ページ目)

  • 柄谷雅紀●取材・文 text by Karaya Masaki
  • photo by Kyodo News

 攻撃面でも、ラリー中に攻撃参加を怠らず、中央から打ち込む打球は力強さがあり、世界と戦える力を示した。高橋はブロックこそ改善が必要だが、スパイクは一級品。長身選手にもブロックの上から力強く打ち抜く力があった。

「日本はミドルブロッカーが著しく前進している。本当にグッドジョブをしていると思う。ブロックがよくなっているので、この大会ではより強いところを見せている。攻撃ではいつもと同じ早いスピードでクイックをしてくるし、中央からのパイプも多用している」

 これは昨季までオランダを率いていた、エジプトのフェルメーレン・ヒド監督の評価だ。

 ミドルブロッカーの高い攻撃参加意識と攻撃力が日本を支えた。後衛のアウトサイドヒッターを含めた4人が常に攻撃参加。この4枚攻撃が相手ブロックを惑わすことで、日本がサイドアウトを奪う原動力となった。

 日本も世界と戦える。そんな確かな手応えがある戦いぶりだった。しかし、勘違いしてはならない。上位3チームのブラジル、ポーランド、米国には1勝もできていないのが現実だ。イタリアやロシア、アルゼンチンには勝ったが、主力が来日していなかったことも忘れてはいけない。世界と戦える力は示したが、ようやく"世界の強豪国と対等に戦える土俵に上がった"という段階。「東京五輪こそはメダルを取りたい」と選手らは口を揃えるが、そのためにはさらなるレベルアップが不可欠だ。

 2008年北京五輪を経験した福澤は言う。

「五輪は別物。どのチームも目の色がガラッと変わる。世界選手権、W杯といろんな大きい大会があるけど、五輪はちょっと異常。そう簡単にはいかない」

 これからは各選手が所属先に戻り、それぞれのシーズンが始まる。石川や柳田、福澤や古賀太一郎(ウルフドッグス名古屋)のように欧州で力を蓄える者もいれば、西田や小野寺らのように国内のVリーグで腕を磨く者もいる。代表が再集合するのは来春。チーム力を上げるための最短の道は個の力のレベルアップ。今季の過ごし方が、その先にある東京五輪につながっている。

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