日本バレーが28年ぶりの4位と躍進。2つの武器が好調の要因だった (3ページ目)

  • 柄谷雅紀●取材・文 text by Karaya Masaki
  • photo by Kyodo News

 強いサーブがもたらすのはサービスエースだけではない。相手を崩し、攻撃の選択肢を狭めることで、日本の守備は堅固になった。山内が相手エースのリカルド・ソウザをシャットアウトする場面もあったし、ブロックでコースを限定したことでディグ(スパイクレシーブ)に結びつけ、切り返して得点を奪う場面も多くあった。

 競り合いで迎えた終盤、24-24でピンチサーバーとして登場した柳田が、強烈なサーブを2本たたき込んでブレイク。26-24でセットを奪った。ブラジルからのセット奪取は2007年以来、実に12年ぶり。日本の進歩を示すには十分な戦いぶりだった。

「僕たちのパフォーマンスをしっかりと安定して出すことができれば戦える」と石川。その戦いぶりは、リオ五輪金メダリストであるブラジルの主将ブルーノ・レゼンデからも「日本は強いサーブを打ってきた。そして、日本はディフェンスがよくて粘り強く守っていた。集中力を失わされた」と讃えられた。

 しかし、最終的にはセットカウント1-3で黒星。14-25の大差で落とした第3セットは、序盤で相手のサーブに日本の守備が崩壊。24-26で競り負けた第4セットは、終盤に西田がスパイクをブロックされたうえに、ネットにもかける勝負弱さが見られた。柳田も、23-23という終盤でサーブをネットにかけた。世界的な強豪と比較すると、ここぞの場面で取り切れない。そこに至る前の序盤や中盤でも、細かなミスは日本のほうが多かった。石川は言う。

「取り切る場面で取れなかったことが一番の差。そういう1本を確実に取らなければ強豪国に勝てないことを、あらためてこの試合で学べました」

 善戦はしたが、完敗だった。スパイク、ブロック、サーブ、レセプション、ディグの全ての項目で日本が上回った数字はなく、王者が一枚上だったことを示している。だが、それは世界王者に本気で勝とうとしたからこそ明確になったものだった。

 もうひとつ特筆すべきなのは、ミドルブロッカー陣の成長だ。主軸となった小野寺は攻守で存在感があった。ブロック得点こそ、1セット平均0.36本で全体の12位にとどまるが、ボールに触れた回数は89回とまずまずだ。とくにブラジル戦で、日本の堅守に果たした役割は大きく、好ディグを何度も見せた西田は「ミドルブロッカーがコースを絞ってくれる。完璧な仕事をしてもらっている」と話した。

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